新型「リーフ」は走行距離1.4倍の400kmに、2018年にはロングレンジ高性能モデルも:電気自動車(2/2 ページ)
日産自動車が全面改良した電気自動車(EV)「リーフ」を世界初公開した。走行距離はJC08モードで400kmで、バッテリー容量30kWhの先代モデルから120km延長している。バッテリーパックのサイズは先代モデルと同等のまま、容量を40kWhに増やした。駆動用モーターの最高出力は従来の80kWから110kWに向上している。
リチウムイオンバッテリーはオートモーティブエナジーサプライが供給する。正極材の見直しとセパレーターの薄型化により、バッテリーパックのサイズを維持したまま容量を増やした。正極材は従来はマンガン系を採用していたがバッテリーパックの大型化が避けられないため、三元系に変更した。先代モデルと同等の5人乗りの室内空間を維持することにこだわった。
バッテリーの大容量化に対応して、出力を6kWに上げた家庭用の普通充電器もメーカーオプションで用意した。標準装備の3kWの普通充電器では充電に16時間かかるが、6kWのタイプは8時間で完了し、夜間に充電を終えられるようにした。
駆動用モーターは、先代モデルやコンパクトカー「ノート」の「e-POWER(eパワー、シリーズハイブリッドシステム)」から共用してコストダウンを図った一方、インバーターを改良することにより最大トルクが254Nmから320Nmに向上した。
具体的にはパワーモジュールの冷却構造を見直した。従来は冷却水を当てたプレートでパワーモジュールを冷却していたが、新型リーフではプレートに穴を開けて直接パワーモジュールに冷却水を当てる。冷却水が漏れないようにするシールの耐久性を向上している。
2018年に投入予定の高性能モデルについては現在開発中であるとして走行距離や性能については明らかにされなかった。日常的に長距離を移動するユーザーや、Tesla(テスラ)のようなEVならではのハイパワーを求める層に向けたモデルとなる。
運転支援システムも充実
アクセルペダルを離すと強く減速し、ペダルの踏み替えを減らすノートeパワーのワンペダル操作を進化させ、EVならではの運転体験ができる機能として「e-Pedal(eペダル)」を標準装備とする。ノートeパワーと異なるのは停止保持まで行う点だ。eペダルは、ブレーキペダルを踏む必要がある90%以上の場面をアクセルペダルの操作のみで対応できるという。
この他にも、「セレナ」「エクストレイル」に設定した高速道路の同一車線での自動運転機能「プロパイロット」を採用している。さらに、アクセルとブレーキ、ステアリング、ギアチェンジの操作を自動で行う自動駐車システム「プロパイロット パーキング」や、歩行者も検知する踏み間違い衝突防止アシストも設定する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ルノー日産が世界新車販売台数で初の首位、ルノーと日産の好調さがけん引
2017年上期(1〜6月)の世界新車販売台数で、ルノー・日産アライアンスが初めて首位に立った。同期間で約50万台を販売した三菱自動車が傘下に加わったことが最大の要因だが、ルノーと日産自動車の好調さがなければ初の首位に立つことはかなわなかった。 - 日系自動車メーカーの戦力逐次投入は何をもたらすのか
フランスや英国で2040年までにガソリンエンジン車・ディーゼルエンジン車の販売を禁止する方針を政府が示した。欧州自動車メーカーは反対する様子もなく、既に織り込み済みに見える。一方、日系自動車メーカーは当面1〜2車種の電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を投入する様子見の戦略だ。あえて後手とするのは望ましいのか。 - ルノー日産が中国にEV開発の合弁会社を新設、2019年にAセグSUVを生産予定
ルノー・日産アライアンスと東風汽車は、中国市場向けに電気自動車(EV)の共同開発を行う合弁会社を新設する新型EVはルノー・日産アライアンスのAセグメントのSUVプラットフォームをベースとし、相互接続機能も搭載する。 - 日産「ノート」は1000km走れる“電気自動車”に、「アクア」との差は縮まるか
日産自動車はコンパクトカーの「ノート」を一部改良し、ハイブリッドモデルを追加した。エンジンは発電のみに使用し、駆動力はモーターでまかなうシステムで、「充電が不要な電気自動車」と位置付けている。 - BMWの電気自動車「i3」が全面改良、走行距離はレンジエクステンダー付で511km
ビー・エム・ダブリューは、電気自動車の「i3」を全面改良し、2016年10月1日から販売を開始する。一充電当たりの走行距離はJC08モードで390km、レンジエクステンダー(発電用エンジン)搭載モデルは満充電かつ燃料タンクが満タンの場合で511kmとなる。車両価格は先代モデルから据え置いた。 - テスラの“格安”電気自動車「モデル3」公開、走行距離346kmで価格は390万円
Tesla Motorsは、電気自動車の5人乗り新モデル「モデル3」を世界初公開した。価格は3万5000米ドル(約390万円)で、同社の高級セダン「モデルS」の3分の1程度まで引き下げた。走行距離は215マイル(約346km)で、急速充電に対応した。自動運転機能は標準装備とした。納車は2017年から。