ORiNとFL-net、製造ラインと上位システムとの連携が容易に:産業用ネットワーク
日本電機工業会が推進する産業用オープンネットワーク規格である「FL-net」と、日本ロボット工業会が推進する工場用情報システム用ミドルウェアの「ORiN」の連携が進んでいる。新たにORiNでFL-netとの接続を容易にするプロバイダーを開発し、製造ラインと上位システムとの連携を容易にする。
日本電機工業会(JEMA)が推進する産業用オープンネットワーク規格である「FL-net(エフエルネット)」と、日本ロボット工業会が推進する工場の情報システム用ミドルウェアの「ORiN(オライン)」は2016年に相互連携を進めることを発表。「産業用オープンネット展2017」(2017年8月24日、大田区産業プラザPiO)では、両規格の接続プロバイダーの開発を紹介した。
製造業IoTで連携が重視される中進むネットワーク連携
インダストリー4.0やIoTを基盤とするスマートファクトリー実現には、産業用オープンネットワーク間の連携は欠かせない。その中でFL-netとORiNは2016年に連携を進めていくことを発表。まず、そのFL-netで接続されている工場の機器群とORiNを容易に接続できるようにすることで、上位システムから製造現場システムまでがシームレスに接続できるようにすることを目指した。
ORiNは、日本ロボット工業会がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクトとして開発。もともとはロボット間の異種環境を吸収することを目指していたが、現在はロボットだけでなくFA機器やデータベース、ローカルファイルなど幅広いリソースを扱う「Open Resource interface for the Network」と再定義し、異種環境が混在する工場内の課題を解決するミドルウェアとして注目を集めている※)。
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一方、FL-netは、JEMAがPLC間の相互接続性を確保するために開発した産業用のオープンネットワークである。加工組み立て産業やプロセス産業、公共・社会システムなどの環境で活用されている※)。
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提携発表後、開発に取り組んできたのがFL-netとORiNをつなぐソフトウェア「FL-netプロバイダー」の開発である。このソフトウェアにより、既存のFL-netのネットワークや新規のFL-netネットワークにORiN用のシステムが参加可能になるという。既に開発は完了しており「年内には稼働デモを見せられるようにしたい」と日本電機工業会 技術部 次長の高橋一郎氏は述べている。
2018年度に国際標準化へ
FL-netは従来、日本の規格として多くの製造業などで活用されてきたが、最近ではトヨタ自動車が自社工場で基軸としていたFL-netから、EtherCATへと乗り換える方針を示すなど、他の規格に押される状況となっている※)。
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高橋氏は「FL-netについてここ最近はネガティブな印象で見られることも多いが、まだまだ果たせる役割があると考えている。ORiNとの連携などについても稼働できる具体的な仕組みを見せられる場を作ることで、新たな印象を作り出していきたい。さらに、新バージョンによる2018年の国際規格化に向けた取り組みも進め、ポジティブな印象に変えられるようにしていく」と取り組みについて述べている。
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