「機械の目」を実現する空間認識技術「KudanSLAM」を実用化:ロボット開発ニュース
Kudanは独自の空間認識技術「KudanSLAM」を実用化したと発表。ORBやPTAMなど従来技術と比較し高速かつ低負荷な動作であり、高精度でロバストな認識ができるという。
Kudanは2017年8月14日、同社独自の空間認識技術「KudanSLAM」を実用化したと発表した。SLAM(Simultaneous localization and mapping)は、カメラ画像やセンサー情報を用いて、リアルタイムで3D地図の作成や自己位置推定をする3D空間認識ソフトウェア技術。人の目のように、機械が自ら視覚的な情報を取得できるようにする「機械の目」を実現するものだ。
KudanSLAMはORBやPTAMなど従来のオープンソースのSLAM技術と比較して高速かつ低負荷な動作であり、高精度でロバストな認識ができるという。同システムはスマートフォンに付属するような廉価なカメラでも動作し、さまざまなセンサーが組み合わせられることが特長だ。半導体チップへ組み込むことも可能だという。暗所や遮蔽された空間、予測困難な動きになどにも安定して対応できる。
用途については、自動運転・ADAS(先進運転支援システム)、ドローン、産業用ロボットおよびパーソナルロボット、AR/VR/MRなどを想定している。
自動運転・ADASでは、車両内部センサーやライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)と組み合わせることで、自己位置推定や空間認識の精度を高めることが可能だとしている。車両の前後方監視やパーキングアシストの機能強化にも活用できるという。
ドローンで搭載可能な小型サイズのカメラでも、1mm-1cm単位の認識と自己位置推定を実現できることも利点として挙げる。
産業用ロボットやパーソナルロボットについては、ロボット自身が周囲の環境を把握して自立して作動するため、外部にセンサーを設置したりする必要がなく、かつ特定の環境や仕様にとらわれない運用が可能になる。
ARにおいてはマーカーの設置が不要になり、ARヘッドセットをかけたユーザーは自己位置と視線移動をリアルタイムに把握できる。
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