がんの早期発見・早期治療社会を目指した協創を開始、アフラックと日立製作所:医療機器ニュース
アフラックと日立製作所は、がんの早期発見・早期治療社会の構築に向けた協創を開始する。がんに関するアフラックのデータや知見と、尿中代謝物によってがん患者を識別する日立の技術などを組み合わせ、がんの識別技術向上や活用方法などを検討する。
アフラックは2017年7月26日、日立製作所と共同で、がんの早期発見・早期治療社会の構築に向けた協創を開始すると発表した。アフラックのがんに関するデータや知見と、日立が研究する尿中代謝物によるがん患者の識別技術や独自のサービスデザイン手法「NEXPERIENCE(ネクスペリエンス)」、アナリティクス技術などの先端ITを組み合わせ、がんの識別技術向上や活用方法などの検討を進める。
アフラックは、日本初のがん保険を発売した保険会社で、日本最大のがん保険契約件数を有している。がんへの理解促進とがん検診の受診率向上を目的とした「がんに関する啓発活動」を全国の自治体と連携して行うなど、さまざまなサポートを展開している。一方、日立は、尿中代謝物の解析によってがんを早期発見する技術の研究に取り組み、簡便ながん検査の開発に取り組んでいる。
日立では今後、医療機関との共同研究により、まずは乳がんを対象として尿中代謝物によるがんの識別技術の向上に向けた研究開発を進める。さらに今回の協創により、この識別結果の可視化方法や、乳がん以外で研究を進めるがんの種類の選定などをアフラックと共に検討する。
また、識別技術の活用方法を検討し、がんの早期発見・早期治療社会の構築を目指す。例えばがん検診の受診を促すため、識別技術を用いたプレスクリーニング検査方法やその提供スキーム、プレスクリーニング検査後のサポート内容などを検討する。提供スキームの検討には、NEXPERIENCEを活用する。
さらに両社は、がんの早期発見から治療費の保障、治療後のアフターケアまでのトータルサポートを実現する新しい保険商品やサービスの検討を進める。具体的には、がん検診の受診促進を目的としたプレスクリーニング検査の普及、医療機関でのがん治療に応じた保険金の給付、治療後の定期的なプレスクリーニング検査の提供などを検討している。
現在、がんは日本における死因の第1位だ。早期発見による治療ほど治癒する可能性が高く、厚生労働省の「がん対策推進基本計画」では、積極的ながん検診の受診が促されている。しかし、日本のがん検診の受診率は約30〜50%と、欧米諸国と比較すると低い状況にある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 世界トップクラスのがん専門病院と日立が共同研究、頭頸部がんの放射線治療で
日立ヘルスケアアメリカズと米MDアンダーソンがんセンターは、頭頸部がんの放射線治療の臨床試験に関わる共同研究に合意した。頭頸部がんの患者に対して、X線と陽子線の2種類の放射線を用いた治療を実施し、治療効果や副作用を比較する。 - 大腸がん幹細胞を標的とした治療モデルの開発に成功
慶應義塾大学は、大腸がんの増殖をつかさどる「がん幹細胞」の詳細な機能の解析と、がん幹細胞を標的とした治療モデルの開発に成功した。がんの新たな根源的治療法の開発につながることが期待される。 - 大腸がんなどの病変をAIで98%検知するリアルタイム内視鏡診断サポートシステム
国立がん研究センターとNECは、AIを用いて大腸がんや前がん病変を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するシステムを開発した。大腸がんなどの病変を98%の発見率で自動検知し、病変見逃しの改善が期待される。 - 人工知能のWatsonが提案するがんの治療法、専門家グループの判断と最大96%一致
米IBMは、がん診断支援システム「Watson for Oncology」と治験マッチングシステム「Watson for Clinical Trial Matching(CTM)」の臨床的有用性を実証するデータを発表した。 - がんプレシジョン医療にAIを活用、治療率が6倍に
がん研究会、がん研究所、FRONTEOヘルスケアは、最先端のゲノム解析技術とAI(人工知能)を用いて「がんプレシジョン医療」を実現するシステムの開発に向けた共同研究を開始する。現在、一般的で明確ながん治療法が当てはまらないがん患者の治療率は5%程度だが、共同研究により治療率を6倍の30%まで高められる可能性がある。