「2期連続の減収減益を回避したい」、トヨタが積み重ねる収益改善活動:製造マネジメントニュース
トヨタ自動車は、2018年3月期(2017年度)第1四半期(4〜6月期)の決算を発表した。売上高と連結販売台数は増加したが、営業利益は前年同期比で減少。トヨタ自動車の大竹氏は「残念な結果」としつつも、2期連続の減益を回避すべく収益改善を一層強化する。
トヨタ自動車は2017年8月4日、2018年3月期(2017年度)第1四半期(4〜6月期)の決算を発表した。第1四半期の業績は売上高が前年同期比7.0%増の7兆476億円、営業利益は同10.6%減の5742億円、当期純利益は同11.0%増の6130億円だった。
第1四半期の連結販売台数は、前年同期比4万3000台増の221万5000台だった。アジア市場向けが前年同期比で2万1000台減少したものの、日本・北米・欧州・中南米などその他地域では増加した。
トヨタ自動車 専務役員の大竹哲也氏は「原価改善の努力はあったが、為替影響やスワップ評価損益を除いた、成果がダイレクトに反映される部分でも(前年同期比で)250億円のマイナスは残念な結果だ」とコメントした。
北米の利益圧迫する販売諸費用
地域別の営業利益を見ると、日本は前年同期比297億円増の3199億円となった。「ルーミー」「タンク」「C-HR」など新型車の販売台数増加や原価改善が増益に寄与した。販売台数は前年同期比3万3000台増の54万4000台だった。
北米の営業利益は販売諸費用の増加により、前年同期比765億円減の888億円と減益になった。販売台数は同8000台増の72万3000台だった。インセンティブなど販売諸費用の増加は、北米市場の競争激化が要因となっている。しかし、2017年8月中旬以降、競争力を高めた新型「カムリ」を北米市場に導入することにより、販売諸費用の低減を見込んでいる。
欧州の営業利益は、前年同期比119億円増の205億円だった。販売台数が同1万8000台増の24万台に増加したことや、原価改善が奏功した。
アジアの営業利益は、販売台数の減少や為替変動の影響により前年同期比217億円減の1028億円で減益となった。「為替がドル高元安、ドル安バーツ高で推移したことにより、ダブルパンチで影響を受けた」(大竹氏)。中南米・オセアニア・アフリカ・中近東では、中南米とオセアニアで販売が増加。為替変動の影響もあり、同地域での営業利益は前年同期比113億円増の395億円だった。
減収減益から増収減益に
通期の業績予想は当初の見通しから上方修正した。売上高は前期比3.3%増の28兆5000億円、営業利益は同7.2%減の1兆850億円、当期純利益は同4.4%減の1兆7500億円を見込む。営業利益は当初の見通しから2500億円積み増した。
「収益改善活動を進める中でめどがついた原価改善や営業努力を反映している。収益改善の手応えが出てきた」(大竹氏)。期初の減収減益の見通しから増収減益に転じる。前提の為替レートは当初よりも円安に設定し、2017年7月以降、1米ドル=110円、1ユーロ=125円とする。
ただ、為替の影響やスワップ評価損益を除いた通期の営業損益は「前期比で2700億円のマイナスとなる。明日を生き抜く『攻め』と、今日を生き抜く『守り』を重ねて2700億円を挽回していく」(大竹氏)と、2期連続の減益を回避すべく収益改善を一層強化していく。
通期の連結販売台数の見通しは890万台で据え置くが、内訳を見直した。日本と欧州で増加するものの、北米とアジアで減少を見込む。
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