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新型「カムリ」が目指したのは、理屈抜きにかっこよくて走りのいいクルマ車両デザイン

トヨタ自動車は、ミッドサイズセダン「カムリ」をフルモデルチェンジして発売した。パワートレインとプラットフォームは、クルマづくりの構造改革「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に基づいて一新。1980年代の人気車のような「かっこよくて走りもいいクルマ」を目指したという。

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1980年代の人気モデルはデザインがよく走っても楽しいクルマだったと振り返る
1980年代の人気モデルはデザインがよく走っても楽しいクルマだったと振り返る(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 トヨタ自動車は2017年7月10日、ミッドサイズセダン「カムリ」をフルモデルチェンジして発売した。パワートレイン(※1)とプラットフォーム(※2)は、クルマづくりの構造改革「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に基づいて一新。「ソアラ」「セリカ」「チェイサー」「MR2」といった1980年代のモデルのように「かっこよくて走りもいいクルマ」(トヨタ自動車 Mid-size Vehicle CompanyでPresidentを務める吉田守孝氏)を目指したという。

(※1)TNGAのエンジンとトランスミッションは2017年から搭載、燃費は従来比20%改善
(※2)新型「プリウス」がTNGAの第1号車になった理由

 その一方で、日本市場だけでなく、カムリがベストセラーとなっている米国市場も含めてグローバルでSUVの人気が高まっている。吉田氏や新型カムリ チーフエンジニアの勝又正人氏はセダンの強みとして、重心の低さと走行性能、デザイン性や居住性を挙げる。「荷室や居住空間、機能性は十分にある。若い人たちと話す中で、感性に響くかっこよさは、3ボックスかSUVかというボディータイプとは関係ないことが見えてきた」(勝又氏)とし、“セダンの復権”に自信を見せる。

 税込みの車両価格は329万4000円から。月間販売目標台数は2400台で、トヨタカローラ店に加えてトヨペット店やネッツ店でも販売する。北米では標準グレードとスポーツグレードの2種類があり、ガソリンエンジン搭載モデルも発表されているが、日本では標準グレードのハイブリッドモデルのみ発売する。新型カムリの米国での販売台数は月間3万台を超えているという。

新型カムリの外観(左)特徴的なヘッドランプ(右)(クリックして拡大)

“食パン”からの脱却

「カムリ」の先代モデル。北米では食パンが愛称
「カムリ」の先代モデル。北米では食パンが愛称(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 勝又氏は、カムリが北米で“食パン”と呼ばれているエピソードを紹介した。「なくてはならない、あるとうれしいと評価されているのは大変ありがたい。しかし、ワクワクドキドキしないという意味でもある。無難なだけでは買ってもらえない」(勝又氏)と危機感を持ったという。

 また日本市場について勝又氏は「日本のセダンが販売ランキングに入ってこないことは事実だが、輸入車ならセダンでもランクインする。単純にセダン離れが進んでいるのではなく、感性に訴えられるセダンが国産車にないだけなのではないか」と分析する。

 こうした状況を踏まえて、理屈抜きの見た目のかっこよさと、上質で意のままの走りを両立することが全面改良のテーマになった。

新型カムリのサイドビュー。低重心化を図った
新型カムリのサイドビュー。低重心化を図った(クリックして拡大)

 見た目のかっこよさは「全高が低くタイヤが四隅に踏ん張っていること」(勝又氏)にあるという。フードと全高はTNGAプラットフォームの採用によって下げており、フードは先代モデル比で40mm、全高は25mm低くなった。駆動用バッテリーを小型化して後席の下に移動、荷室の下にある補機バッテリーも配置を下げることにより低重心化を図っている。

 TNGAプラットフォームで重心高が下がることにより、車両の姿勢変化が少なくなり走行中の安定感が向上。また、ドライバーのヒップポイントを先代モデルよりも低く後ろに配置することで最適なドライビングポジションとした。低フードと低全高、ドライバーの視界とヘッドクリアランスの確保が実現したのは「TNGAで一から全て作ったからこそ」(勝又氏)。ダブルウィッシュボーン式のリアサスペンションや、液体封入式エンジンマウント、ラックパラレル式の電動パワーステアリングも上質で意のままの走りに貢献している。

新型カムリの外観。車名ロゴの字体を変更している(左)。付け根に向かって細くなるAピラーや伸びやかさを印象付けるプレスラインなど特徴的なデザイン表現を取り入れた(中央、右)(クリックして拡大)

実用性があれば、攻めたデザインも中高年にウケる

カムリらしくないことを重視した
カムリらしくないことを重視した(クリックして拡大)

 新型カムリのフロントデザインはトヨタ自動車独自の表現であるキーンルックを進化させるとともに、個性的な表情を演出するヘッドランプを採用しており、「一番カムリらしくないものを意識して選んだ」(勝又氏)。社長の豊田章男氏も、幾つかのデザインが挙がった企画段階で、カムリらしくない候補に賛成したという。デザイン担当の説明員は、若者の好みも反映しつつ、思わず目で追ってしまうクルマを目指したと話す。

 「今までのカムリは、特に女性から見ると印象に残らない存在だったし、実用性で選ばれてもスタイリングでは選んでもらえなかった。新型のデザインで好き嫌いが分かれるのは承知の上だ。40〜50代のセダンユーザーは実用性が伴っていれば若々しいデザインをむしろ好む傾向があるので、企画段階から保守的なデザインを踏襲する意見はなかった」(トヨタ自動車の説明員)。また、勝又氏は「20代にもかっこいいと評価してもらっている。財布が許すなら20代の若者にも乗ってもらいたい」と話す。

 日本市場での“国産セダン離れ”の流れは変えられるのか、若者の声から探ったかっこよさはどのように受け入れられていくのか。カムリの実力が北米に続いて日本でも試されようとしている。

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