イノベーションの量産は可能か、パナソニックが目指す“コト作り”の製造装置:イノベーションのレシピ(3/3 ページ)
パナソニックは、2017年4月に新設したビジネスイノベーション本部の戦略として、社会課題の解決に向けたイノベーションを量産化する仕組み作りに取り組む方針を示した。
住空間を製品群で包括するパナソニックの強み
現在既に「Panasonic Cloud Platform」が使われている事例としては、薄型テレビ「ビエラ」の「Media Center」機能や、エアコン操作アプリ、スマートHEMS(家庭用エネルギー管理システム)、みまもりエアコン、放送局向け映像編集ワークフローサービス、欧州向け暖房機リモート制御などがある。
100カ国で180万台の機器が接続されており、108のAPIを通じて、月間10億アクセスがあるという。さらにこれを同一の技術基盤を活用することで水平連携も進めてきており、既に9サービスを掛け合わせた分析などを推進しているという。住空間のIoTログでは75億件がそろっており、分析を進めることで、従来にない新たなサービスを生み出せる可能性が広がっている。
パナソニック内で各事業部のIoT担当者が集まるIoT事業推進会議という会議体を設立し、各事業部がどれくらいの機器を技術基盤に接続し、どういうビジネスモデルを展開するのかをコントロールできるようにしているという。
馬場氏は「まずはIoTに接続するところからスタートし、ヨコパナでのデータ分析を進める。さらに、これらを生かして新たな価値を生み出し、新しいビジネスモデルの創出につなげていく。取り組みとしてはこの順番になるが、思考としては逆で進めないといけない。未来の価値から逆算して、現在必要なものを見つけ出していく」と取り組みの進め方について述べる。
こうしたバックキャスト型の取り組みの1つの例が、現在シリコンバレーで進めている「HomeX」プロジェクトである。「HomeX」は、新たな住環境の姿を描き、そこに必要な家電や住宅設備、住宅家屋の在り方を模索するプロジェクトである。馬場氏は「家電や住宅設備、住宅家屋など、住空間を構成するほとんどの要素を1社で提供できる企業は世界を見てもほとんど存在しない。住空間を再設計することで新たな体験を作り出し、そこに必要な製品やサービスの開発を行いイノベーションを生み出していく」とプロジェクトの意義について述べている。
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