第4次産業革命が生みだす「つながる産業」、3つのWGが目指すもの(後編):製造業IoT(3/3 ページ)
ロボット革命イニシアティブ協議会は2017年6月に3つのワーキンググループの活動報告と2017年度の取り組み方針について紹介した。本稿では「ロボット利活用推進WG」と「ロボットイノベーションWG」の活動について紹介する。
ロボットイノベーションWGの取り組み
「ロボットイノベーションWG(WG3)」はロボットの技術進化そのものを目指したWGである。誰もが使いこなせるロボットの実現を目指した「プラットフォームロボット サブWG(SWG1)」と、ロボット活用に関する安全基準やルール作りを進める「ロボット活用に関わる安全基準・ルール サブWG(SWG2)」、ロボット国際競技大会の全体設計や競技検討を行う「ロボット国際競技大会 サブWG(SWG3)」の3つのサブWGで活動を行っている。
ロボットのプラットフォーム開発を推進
プラットフォームロボットSWGでは、プラットフォーム化によるロボットの普及促進に取り組む。具体的には誰でも簡単に使える「Easy to use」なロボットの実現、イニシャルコストの低減、スケールメリットが働く産業構造の3つを目的とする。2015年度の取り組みでは、モノづくり分野、サービス分野、生活支援分野の3分野に絞り込み「新分野用低コストロボット」「IoT時代の新しい用途」「エコシステム、SIヤー育成」に向けて、必要な技術的要素を整理した。さらに、ハードウェアプラットフォームの仕様、ソフトウェアプラットフォームの仕様とともに、エコシステムを含めた具体的なアクションプランなどを示した。
2016年度はこれらの決めた仕様などに沿った「プラットフォームロボット」の開発を、NEDOプロジェクトとして事業化しており、標準仕様の策定を進めていく。
ロボット活用に関わる安全基準・ルール作り
ロボット活用に関わる安全基準・ルールSWGでは、ロボットの社会実装に向けたプロセスを「設計」「実証実験」「社会実装」の3段階に区分し、安全基準の適用やルールについて検討。ガイドラインの策定を行った。
2016年度は、ロボット導入実証事業の「日常空間におけるロボット活用の採択事業者に対し、ガイドラインの提示と適用を行った。またフォローアップ調査なども実施している。今後は2020年に向けて事例創出を進めていくとともに、必要になる安全性確保のルール作りなどに取り組んでいく方針としている。
ロボット国際競技大会の開催
ロボット国際競技大会SWGでは、ロボット国際競技大会プレ大会を2018年に、本大会を2020年に開催する計画のもと、競技内容などの設計に取り組んでいる。技術力や国際性、人材育成性を備えた競技や展示の検討を推進してきたが、2016年度には国際協議大会の名称として「World Robot Summit」を決定※)。ロゴや開催時期、開催場所、各競技種目の概要などを発表した。
※)関連記事:2020年にロボットの国際大会を日本で開催、3分野6種目で実施
WG3における2017年度の活動は、各SWGの取り組みを継続。一方で新たにロボットプラットフォーム研究会、安全認証・実証研究会、社会実装研究会を立ち上げた他、新プロジェクト企画立案に向けた意見交換会や会員間の交流イベントを新たに実施するとしている。
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