4K映像で遠隔地から手術の指導が可能に、2時間の血管内治療で実証実験:医療機器ニュース
金沢大学、和楽仁 芳珠記念病院、PFUビジネスフォアランナー、EIZOは共同で、遠隔地の病院間で4K映像伝送を用いた血管内治療・遠隔医療指導の実証実験を実施した。
金沢大学は2017年6月22日、和楽仁 芳珠記念病院(芳珠記念病院)、PFUの子会社であるPFUビジネスフォアランナー、EIZOと共同で、遠隔地の病院間で4K映像伝送を用いた血管内治療・遠隔医療指導の実証実験を実施したと発表した。
金沢大学、PFUビジネスフォアランナー、EIZOは、遠隔医療指導システムの構築を目指し、2015年に共同研究契約を締結している。その後、金沢大学付属病院内で10件の臨床実験を行い、その有効性を検証してきた。同システムは、EIZOの4KタッチモニターやPFUの超低遅延・4K映像伝送技術を組み合わせて構築。血管造影画像や治療に必要な複数の医用画像を伝送し、遠隔地から指導医が音声と映像を伝送することで、リアルタイムで手技指導が行える。
今回、金沢大学付属病院と芳珠記念病院を結び、遠隔地の病院間での実証実験を初めて実施。実験では、金沢大学付属病院の医局と芳珠記念病院の血管造影室を高速IPネットワークでつなぎ、2時間に及ぶ血管内治療「選択的肝動脈化学塞栓療法」の指導をした。
その結果、遠隔地からでも血管造影室にいるかのような臨場感で、術中の指導ができた。これにより同システムは、商用回線を利用した病院間での遠隔医療指導において、有効に機能することが確認できた。
今後は、実運用に向けた医療現場での運用評価を進め、遠隔医療指導システムの普及を目指すという。例えば、指導下での施術機会が増えれば、専門医の手技技術、治療安定性、治療効果が向上し、治療時間の短縮につながる。また、施術スケジュール調整の容易化、地域遠隔医療の発展などが考えられるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 米国遠隔医療の最新事情、地域格差は解決できるのか
日本では、2015年8月10日の厚生労働省通達を契機に動き出した遠隔医療。米国の最新動向はどうなっているのだろうか。 - 遠隔地で医療研修を受講できるソリューションを提供開始
日立産業制御ソリューションズは、「医療研修基盤提供ソリューション」の提供を開始した。クラウドを活用し、医療研修環境がない遠隔地に居ながら、研修に参加できる環境を構築する。 - 8K映像の内視鏡で遠隔医療、据え置き画質の超音波画像をモバイルで
ソシオネクストは、「MEDTEC Japan 2017」において、内視鏡手術などで用いられる高精細な8K映像をエンコード/デコードする技術を披露。モバイル医療機器ソリューション「viewphii(ビューフィー)」のアップデートも紹介した。 - 通院せずに高血圧を治せる!? 「都市型遠隔診療」の実証研究がスタート
ポートと東京女子医科大学は、ネットワーク血圧計を活用した高血圧者の遠隔診療の実証研究を開始すると発表した。従来の遠隔診療の実証研究は、無医地区に住む高齢者を対象にすることが多かったが、今回は世界でも例のない「都市型遠隔診療」の実証研究となる。 - 服薬支援ロボを活用したクラウドサービスで地域包括ケアに貢献
日立システムズは、茨城県笠間市に導入していた「服薬支援クラウドサービス」と、同市が運用する「介護健診ネットワーク」との連携に関する実証実験を行い、その結果を発表した。