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通院せずに高血圧を治せる!? 「都市型遠隔診療」の実証研究がスタート医療機器ニュース(1/2 ページ)

ポートと東京女子医科大学は、ネットワーク血圧計を活用した高血圧者の遠隔診療の実証研究を開始すると発表した。従来の遠隔診療の実証研究は、無医地区に住む高齢者を対象にすることが多かったが、今回は世界でも例のない「都市型遠隔診療」の実証研究となる。

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 ポートと東京女子医科大学は2016年9月6日、東京都内で会見を開き、ネットワーク血圧計を活用した高血圧者の遠隔診療の実証研究を開始すると発表した。都市部に居住する、働き盛りで定期的な通院の継続が難しい高血圧の男女を対象に、2016年9月〜2019年3月にかけて実施する。従来の遠隔診療の実証研究は、無医地区に住む高齢者を対象にすることが多かったが、今回は世界でも例のない「都市型遠隔診療」の実証研究となる。

「都市型遠隔診療」の実証研究の参加メンバー
「都市型遠隔診療」の実証研究の参加メンバー。左から、東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科 准講師の谷田部淳一氏、同教授・講座就任の市原淳弘氏、ポート代表取締役 CEOの春日博文氏、同社執行役員の伊藤恭太郎氏

 今回の実証研究では、生活習慣病の都市部での診療に遠隔診療を導入した場合の安全性および有効性の検証が目的となる。ネットワーク血圧計と血圧データを記録するスマートフォンアプリ、ポートの遠隔診療プラットフォームサービス「ポートメディカル」をIoT(モノのインターネット)ソリューションに見立て、「都市部でのIoTを活用した医療の効果に関する医学的エビデンスを先駆けて蓄積することを目指している」(ポート代表取締役の春日博文氏)という。

「ポートメディカル」を用いた遠隔診療のイメージ
「ポートメディカル」を用いた遠隔診療のイメージ(クリックで拡大) 出典:ポート

高血圧を放置する2000万人をIoT活用で治療する

 今回の都市型遠隔診療の実証研究で行うのは、生活習慣病の大きな原因となっている高血圧の診療である。厚生労働省が行った「平成26年度(2014年度)患者調査の概況」では、高血圧の患者数は日本の全人口の10%弱に当たる1010万800人で、年間死亡数は6932人、年間医療費は1兆8990億円だった。国民の平均血圧が4mmHg下がると、脳卒中による死亡を1万人、心筋梗塞による死亡を5000人減らせるという試算もある。

 東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科 教授・講座就任の市原淳弘氏は「しかしこれはあくまで病院に通っている高血圧の“患者”の数。高血圧者の数は4300万人に達するといわれている。そしてこのうち約半分の2000万人が、高血圧を治療せずに放置している放置高血圧者だ。放置高血圧者が最も多いのが、30代後半〜50代前半の男性、40〜50代の女性。働き盛りで、高血圧の治療のために定期的に通院することが難しいこれらの人々を、IoTの活用によって治療しようというのが今回の取り組みだ」と語る。

4300万人の高血圧者のうち約半分の2000万人が治療していない放置高血圧者の年齢別/男女の内訳 4300万人の高血圧者のうち約半分の2000万人が治療していない(左)。これら放置高血圧者の年齢別/男女の内訳(右)(クリックで拡大) 出典:東京女子医科大学

 実証研究では、都市型遠隔診療のメリットとデメリットの両面について検証を行う。例えば、遠隔診療では病院に行く手間は省ける一方で、従来の対面型診療と同等の診療効果が得られるかは分からない。都市型遠隔診療を、実用的に運用するための条件を見い出すことも重要な目的となる。

都市型遠隔診療のメリットとデメリット
都市型遠隔診療のメリットとデメリット(クリックで拡大) 出典:東京女子医科大学

 また、今回の実証研究では比較試験として、遠隔診療と同数の対象者に、従来と同じ対面型診療を行う。目標の参加者数は合計で450人。参加者は1年後に、自由意思で遠隔診療と従来診療を選ぶことができる。そして1年ごとに再度どちらかを選択し、最長で5年間診療を行う。

今回の実証研究の概要
今回の実証研究の概要(クリックで拡大) 出典:東京女子医科大学

 診療頻度は6週間ごとで、遠隔診療は先述したIoTを活用した診療、従来診療は東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科に通院しての対面診療となる。遠隔診療と従来診療の振り分けは無作為抽出で行われるので、参加登録したからといっていきなり遠隔診療を体験できるとは限らないので注意が必要だ。

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