日立建機がサービスパーツ在庫最適化ソリューションを導入:製造IT導入事例
米PTCは、日立建機へ「PTC Service Parts Management SaaS」の提供を開始した。日立建機では、全世界でのサービスパーツの在庫最適化を図り、顧客満足度の向上と売り上げ拡大を目指す。
米PTCは2017年6月23日(現地時間)、日立建機へ「PTC Service Parts Management(SPM)SaaS」の提供を開始したと発表した。これにより日立建機では、全世界でのサービスパーツの在庫最適化を図る。
SPM SaaSは、同社のサービスライフサイクル管理ソリューション「Servigistics」の1つ。全世界からアクセスできるPTCクラウド基盤上で、サービスパーツ在庫最適化ソリューションを提供する。同ソリューションにより、サービスパーツのプランニング、需要の予測および継続的な最適化が行え、グローバル・サービス・サプライ・チェーン特有の複雑な問題を調整し、顧客のニーズに対応できるという。
今回のSPM SaaS導入により日立建機では、多階層のサプライチェーンにおける在庫最適化および下層拠点の需要を自動連動させ上位拠点での発注計画に即時反映する機能に加え、将来的にはIoT(モノのインターネット)を活用し、顧客満足度の向上とともに売り上げ拡大と在庫最適化の両立を目指す。
導入後のシステム運用については、プロジェクト段階から参画している日立システムズがサポートする。2017年度には日本、中国、シンガポール、オランダ、南アフリカ、UAE、カナダ、インドネシア、マレーシア、タイで利用開始し、2018年度以降、さらに多くの拠点に展開する予定だ。
日立建機では世界170以上の国や地域で、数十万点のサービスパーツをタイムリーに供給するため、400以上ものサプライチェーン拠点を管理している。現在、経営改革の一環として、2020年のあるべき姿を実現するシステム導入を推進しており、今回「求められる部品やサービスをタイムリーに供給」する仕組みとしてSPM SaaSを採用したものだ。
なお同社は、2015年にはPTCが提供するサービスナレッジ管理による現場故障診断力強化の仕組み「Service Information Viewer」を導入。適切かつ即座に各種サービス資料の情報へアクセスできるようにしたシステムにより、即応性が求められる現場での故障診断効率を改善している。
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