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外資CADベンダー各社の“推し技術”に違いあり、ポリゴンとソリッドの歩み寄りもDMS2017まとめ(2/4 ページ)

2017年6月21〜23日、東京ビッグサイトで開催された「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」に出展していた、外資系の主要CADベンダーや国産CADベンダーの展示製品や傾向について、IoT(モノのインターネット)、AR/VRといった技術キーワードも交えて紹介する。

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VRかARか、CADベンダー各社で異なる取り組み

 先のIoTとも関連してくるのが、VR/ARだ。例えば、データと3D CADデータを組み合わせて、VRやARの空間に表示させてレビューするような仕組みが考えられる。CPS(Cyber Physical Systems)を、よりリアルに実現できる。現状の3D CAD関連の技術としては、現実の空間に3Dモデルを表示させるARタイプ、3Dデータで作られた世界そのもの没入するVRタイプがあり、CADベンダー各社で採用デバイスや方式が異なっている。

 2016年は「VR元年」とも表現され、今回の展示でも関連展示が盛り上がっていた。

 Autodeskではクラウドベースの3次元CAD/CAM/CAE「Autodesk Fusion 360」(Fusion 360)を活用したARシステム「AR CAD Cloud」を展示。実機を公開し、来場者が体験できるようにした。今回は、ミッドレンジ3D CAD「Autodesk Inventor」よりもFusion 360の情報がやや多めだった。

 Fusion 360はクラウドベースの3D CADで、CAMやCAEも備えている。Standard版が月額5400円で利用できるなどライセンス費用が廉価な上、個人やスタートアップには無償で提供している。

 クラウド3D CADを提供する同社だが、さらにクラウドの仕組みによるARシステムも作り上げた。今回はパートナーのソフトバンク コマース&サービスと共にデモ展示して紹介した。


「AR CAD Cloud」の展示

 AR CAD Cloudでは、まず、Fusion 360で作成した3DデータをMicrosoft Azureによるクラウドシステムへアップロードする。「Unity CAD Importer」によってデータを自動で最適化処理した上、AR/VRのHMD「Microsoft HoloLens」と連動するアプリ内にダウンロードさせる(関連記事:Fusion 360で作ったデータをクラウドでVRデータ化、皆で共有)。HoloLensのHMD越しで、目の前にある現実の風景の中に実寸の3Dデータが表示され、そこに頭を突っ込むと、内部の部品が見える。

 PTCはARのデモを実施。前述のスマートコネクテッドマウンテンバイクを表示したデモPCに置かれた「Thing Mark」(ARデータ表示のためのマーク)にスマートフォンをかざすと、画面越しにバイクの3Dデータが見える。


ARシステム「ThingWorx Studio」のデモ

 こちらにもスピードや回転数など実機のセンサーから得たデータが表示されている。こちらはARシステム「ThingWorx Studio」によるもの。Thing Markは3D CAD「Creo」から簡単に書き出せる。

 ダッソーの「3DEXPERIENCEプラットフォーム」については単独ブースでのアピールではなかったが、レノボ・ジャパンブースで「3DEXPERIENCEプラットフォーム」(CATIA)によるVRシステムのデモを実施。3DEXPERIENCEプラットフォームは3D CADのデータを変換することなくVR表示し、かつCAD側の変更もリアルタイム変更できる機能を備える。

 「第25回 3D&バーチャルリアリティ展(IVR2017)」に展示していたプロノハーツが、同社の製造業VRシステム「PronoDR」のユーザーとして紹介していた日鉄住金テックスエンジは、国産3D CAD「iCAD SX」のユーザーでもある。


日鉄住金テックスエンジのVRデータ(出典:プロノハーツ)

 PronoDRは大規模3Dデータ表示を強みとする。プロノハーツによる紹介では、「大規模な3DデータをVR化し、入り組んだ産業設備の整備作業において、工具や手がきちんと入るかどうかといった作業性の検討に利用している」「現場についてから問題が発生して作業が行えない、修正作業をするといった事態を未然に防ぐことが可能」ということだった(関連記事:「VRの世界を中小企業にも届ける」という思いは現実に――プロノハーツ)。


iCAD SXの紹介

 iCAD SXの「100万部品を0.2秒で処理できる」性能により、大規模な装置や設備において、設計が最終確定する前に操作性・保守性の検証や加工性検証が可能な「デジタル立会い」が実現できるとしている。iCAD自身の展示ではVRを特に推していなかったが、デジタル立ち合いのコンセプトにVRがマッチしている。

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