外資CADベンダー各社の“推し技術”に違いあり、ポリゴンとソリッドの歩み寄りも:DMS2017まとめ(1/4 ページ)
2017年6月21〜23日、東京ビッグサイトで開催された「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」に出展していた、外資系の主要CADベンダーや国産CADベンダーの展示製品や傾向について、IoT(モノのインターネット)、AR/VRといった技術キーワードも交えて紹介する。
2017年6月21〜23日、東京ビッグサイトで「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」が開催された。今回、3D CAD関連の展示では、CAEやPDM、3Dプリンタ、VR/ARといった、3D CADを核に連携することで広がるソリューションのアピールが目立っていた一方で、「2Dから3Dへ」といった10年くらい前からあり続けるテーマも見られた。
製造業の設計現場において大きなシェアを占める、外資系の主要CADベンダーにおいては、3D CADへ採用する新技術の推し方にそれぞれ特色があり、各社の得意なポジションを明らかにするような動きが見て取れた。
外資のメジャーCADベンダー、IoT色は全体的に控えめ
3D CADベンダー各社の製品は、何かしらの形で「IoT(モノのインターネット)」時代を意識した新機能を搭載してきている。よく設計の未来の形として提案されているのが、実機や現場の情報と、3D CAD側のデータとをつなげて連携して設計・製造を進めるような仕組みである。現実世界の情報をデジタルの世界であたかも双子のようにモデリング、あるいはデータ利用することから、「バーチャルツイン」もしくは「デジタルツイン」といった表現でよく呼ばれる。
今回の展示では、外資系の主要CADベンダー各社に限っていえば、全体的にIoTという言葉を用いたアピールが控えめだった。ただしPTCだけが、IoTプラットフォーム「ThingWorx」と連携する「Creo Product Insight」を紹介するなど、IoT色強め。同社は展示テーマとして、「スマートデザイン、スマートファクトリー」を掲げていた(関連記事:工場でのIoT活用を今すぐ始められる、PTCが2種類のスターターパックを提案)。
Creo Product Insightは、現実の世界に仕込んだセンサーから取り込む情報と、3D CADの情報をつないで、スマートコネクテッドプロダクト(接続機能を持ったスマート製品)を設計するツールだ。
同社はスマートコネクテッドプロダクトの設計事例として、自転車メーカーのサンタクルーズ バイシクルと共同開発したスマートコネクテッドマウンテンバイクも展示。自転車のペダルや車輪など各部位にセンサーを配置し、そこから得られたデータをThingWorx上で3Dデータとともにリアルタイム表示できる。現実とデジタル、それぞれの自転車の動きは相互に連動する。National Instruments(NI)の通信デバイス「NI myRIO」を利用して、実機から各データを飛ばしている。
「インダストリー4.0」の本場であるドイツ出身であり、IoTに積極的なシーメンスであるが、今回の同社は、前回同様にミッドレンジ3D CAD「Solid Edge」の単独出展と代理店経由での展示のみ。Solid Edgeの展示についていえば、「クラウド」のアピールは見られたものの、IoTという単語を前面に出していなかった。
オートデスクやソリッドワークス・ジャパンの展示においても、IoTという言葉自体は、製品紹介そのものでは目立っていなかった。
ミッドレンジ3D CADの多くのユーザーにとってみれば、IoTとCADとが直接結び付くような機能というのは、まだ未来の話なのかもしれない。そういう事情を考慮してなのか、ひとまずIoTへのはしごを掛けるかのような、もう少しユーザーに身近なPLMやPDMとのデータ連携、人気かつ分かりやすいVR/AR技術との連携などの展示が見られた。
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