欧州で協業を拡大するNVIDIA、自動運転用コンピュータからデータセンターまで:車載半導体
NVIDIAが、欧州の自動車メーカーやティア1サプライヤーとの協業を相次いで発表した。欧州勢だけでなく米国のTesla(テスラ)、日本のトヨタ自動車とパートナーはグローバルで増え続けている。
NVIDIAが、欧州の自動車メーカーやティア1サプライヤーとの協業を相次いで発表した。協業相手として名前が挙がったのは、Volvo Cars(ボルボ)とAutoliv(オートリブ)、ZF Friedrichshafen(ZF、ゼット・エフ)とHELLA(ヘラー)、そしてVolkswagen(VW)グループだ。欧州勢だけでなく、米国のTesla(テスラ)、日本のトヨタ自動車とパートナーはグローバルで増え続けている。
2020年以降に量産ラッシュ
ボルボとオートリブ、両社の合弁会社であるZenuityは、車載コンピューティングプラットフォーム「DRIVE PX」を開発基盤にした自動運転システムを量産車に搭載し、2021年までに発売する予定だ。オートリブはボルボ以外の自動車メーカーにも自動運転のソフトウェアを提供する。
ボルボ・オートリブ・ZenuityはDRIVE PXを使い、車両の全周囲の状況認識や、高精度地図を使った走行計画の立案、地図に沿った車両の制御を実現する。
NVIDIAとボルボの協力は2016年からスタートしている。ボルボはスウェーデン・ヨーテボリで自動運転車を走らせる公道試験プロジェクト「DRIVE ME」を2014年から実施しており、100台のテスト車両でDRIVE PXを採用することを明らかにしている。公道試験は対向車や交差点がない環境で、速度を時速50マイル(時速80km)に制限して行う。DRIVE MEは米国や中国でも実施する計画だ。
ZFとヘラーは、乗用車だけでなく商用車も対象に、市街地での完全自動運転までカバーできるシステムを開発する。AIコンピュータ「DRIVE PX2」とインフィニオンの32ビット車載マイコン「AURIX」を組み合わせた独自の自動運転用コンピュータ「Pro AI」によって、画像処理やセンサーフュージョンを行う。自動車アセスメント「NCAP(New Car Assessment Program)」にも対応させる。
VWは、グループのデータ分析を担う研究拠点「データラボ」で、モビリティーサービス向けにディープラーニングを活用する。VWグループの中で、車両へのAIの搭載で先駆けているのはAudi(アウディ)だ。2017年7月に発表するフラグシップセダン「A8」の新モデルにはレベル3の自動運転を搭載する予定で、ドライバーアシストコントローラーにはNVIDIAのソフトウェアとハードウェアを採用するとしている。
NVIDIAは2017年5月に開催した開発者会議「GTC(GPU Technology Conference)」の中でトヨタ自動車との協業を発表。トヨタ自動車が市場導入予定の高度な自動運転システムにDRIVE PXを採用する。また、NVIDIAはドイツのサプライヤー大手であるRobert Bosch(ボッシュ)とも協業しており、ボッシュは2020年代初頭までにDRIVE PXをベースにした自動運転用コンピュータを量産する。
インテル、NXPも大手と協力体制
NVIDIA以外の半導体メーカーを選ぶ動きもある。ボッシュと並ぶドイツの大手サプライヤーのContinental(コンチネンタル)はIntel(インテル)と協業。BMWグループは、インテルとインテルが買収したMobileye(モービルアイ)と共同で自動運転の実証実験を行う。BMWグループは2021年までにレベル3(ドライバーによる周辺監視が不要)の自動運転車を投入する計画だ。
コンチネンタルはインテル一辺倒というわけではないようだ。コンチネンタルが買収したソフトウェアベンダーのElektrobit(エレクトロビット)はNXP Semiconductors(NXP)と提携。NXPの自動運転用コンピュータ「BlueBox」とエレクトロビットの自動運転ソフトウェア開発ツールを融合して自動運転システムの開発を支援していく。
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