ボッシュが開発に取り組む“説明可能なAI”:自動運転技術(1/2 ページ)
Robert Bosch(ボッシュ)が2017年1月にAIセンター(BCAI:Bosch Center for Artificial Intelligence)の稼働を発表してから半年が過ぎた。年次会見にAIセンターのグローバル責任者であるクリストフ・パイロ氏が出席、AIセンターの目的や取り組みについて語った。
Robert Bosch(ボッシュ)が2017年1月にAIセンター(BCAI:Bosch Center for Artificial Intelligence)の稼働を発表してから半年が過ぎた。研究開発費70億ユーロ(約8610億円)を投資し、米国カリフォルニア州パロアルト、インドのバンガロール、ドイツのレニンゲンやルートヴィヒスブルクに拠点を展開している。
2018年6月8日に東京都内で開催した年次会見にAIセンターのグローバル責任者であるクリストフ・パイロ氏が出席、AIセンターの目的や取り組みについて語った。
パイロ氏は2017年にボッシュに入社するまで、ドイツ テレコム ラボラトリーズの副社長として、人工知能(AI)やサイバーセキュリティ、インダストリー4.0やIoTを担当。ドイツのオスナブリュック大学でAIの博士課程を修了した。
自動車から農業までAI活用
ボッシュのAIに対する取り組みは、2017年初めに開催された国際家電見本市「CES 2017」以降、相次いで明らかになった。
CES 2017の基調講演では、NVIDIAがボッシュと提携することを発表。NVIDIAの車載向けAIスーパーコンピュータ「Xavier(ザビエル)」を搭載した「DRIVE PX」をベースにした自動運転用コンピュータを2020年代初頭までに量産する計画だ。また、ボッシュはDaimler(ダイムラー)と業務提携して2020年代初めに完全自動運転車を市場投入することも発表している。
NVIDIAを提携相手に選んだ理由について、パイロ氏は「自動運転車が多くのセンサーを搭載することから、コンピューティングパワーも重要になる。浮動小数点演算ができるからGPUが必要だった。GPUの主要なサプライヤーであるNVIDIAは面白い立場にいる。GPUは他にも何社かいるが、NVIDIAと組むことで物事をスピードアップできると判断した」と説明した。
クルマ以外でもAIを活用し、モノを「インテリジェントなアシスタント」にしようとしている。CES 2017では、家庭用ロボットの「Kuri」、スマートキッチン向けのアシスタント「Mykie」も披露した。Kuriは2017年末に米国で市販予定。子どもを模した高さ50cmほどの本体に、スピーカー、マイク、カメラ、センサーを内蔵している。家族の一員となるよう、コミュニケーション能力を持たせる。Mykieは冷蔵庫の中身を把握して買い物リストを作成したり、調理を助けたりする。
年次会見では、ハウス栽培で起きる作物の病害感染を、AIで高精度に予測するサービスも紹介した(関連記事:ボッシュが農業に参入、AIで作物の病害感染を精度92%で予測する)。病害予測サービスは日本で2017年8月からスタートする。
AIセンターの使命は「世界最良のAIを開発すること。技術的に確立するだけでなく、研究成果をボッシュのビジネスユニットに展開し、いち早く製品として作って生活の中で使われるようにする」(パイロ氏)。AIセンターでは22分に1回のペースで新しいアイデアが生まれ、毎日20万ギガバイトものデータを収集しているという。
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