「VRの世界を中小企業にも届ける」という思いは現実に――プロノハーツ:IVR2017(2/2 ページ)
プロノハーツは「第25回 3D&バーチャルリアリティ展(IVR2017)」で同社が扱う製造業向けVRシステムとして、フランスMiddleVRの「Improov3」、自社開発の「pronoDR」を展示した。pronoDRによる国内事例も動画で紹介した。
会場で紹介した1社が、石川県の中小企業で、産業車両や農業機械などの運転席(キャビン)の設計製造に携わるサンキだ。同社が開発するフォークリフトのキャビンの設計で活躍しているという。3D CADのデータは立体とはいえ、2Dの画面で見ているにすぎない。3D CADのデータを詳細に眺めても、肉眼で実物を見るようにとは到底いかず、死角が存在してしまう。例えば、キャビンに乗車した作業者がキャビン内部から外を見るとき、ピラー(柱)やサイドミラーが邪魔にならないかどうかといったことや、その空間内での動きが想定しづらくなるという。従来は、サイドミラーの最適な設置位置など、実機を用いて検証するしかなかったとのことだ。
サンキの代表取締役 森大蔵氏は「そこにVRを導入し、キャビン内部の様子を仮想的に体験ができるようになったことで、CADデータを見ながら角度や長さなどの数値であれこれ指示されるよりも、状況がはるかに把握しやすくなった」と語る。またpronoDRで見た感覚は、実機を作ってから乗ってみた感覚と非常に一致していたということだ。
「中小企業こそ、率先して最新の技術を使って、大企業を出し抜いていかないと生き残れない」(森氏)。
同システムは、中小企業だけではなく大企業からの問い合せや導入例もあるという。2社目は日鉄住金テックスエンジ、つまり大企業による事例だ。同社では大規模な3DデータをVR化し、入り組んだ産業設備の整備作業において、工具や手がきちんと入るかどうかといった作業性の検討に利用しているとのこと。現場についてから問題が発生して作業が行えない、修正作業をするといった事態を未然に防ぐことが可能だという。またCADの中だけでは洗い出せなかった問題点を簡単に発見できるようになったとのことだ。
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