IoT対応「見守り自販機」が地域情報をリアルタイムに“つぶやく”:組み込み開発ニュース
情報通信研究機構は、アサヒ飲料と共同でIoT対応の「見守り自販機」の実証実験を2017年6月から順次実施する。見守り自販機は、リアルタイムな地域情報を“つぶやく”ことができる。
情報通信研究機構(NICT)は2017年5月23日、「見守り」「交通安全」「観光」などのリアルタイムな地域情報を、マルチホップ中継しながら発信もできるIoT(モノのインターネット)対応の「見守り自販機」の実証実験を開始すると発表した。アサヒ飲料と共同で行うもので、同年6月から順次実施する。
NICTは、2016年度にWi-SUN/Wi-Fi/BLEを融合活用する「ビーコン通信型地域IoT無線サービスプラットフォーム」を開発。同プラットフォームは、飲料自動販売機(自販機)向けの固定型IoT無線ルーターと車載用のスマートフォン型IoT無線ルーター、子供用のWi-SUN/BLEハイブリッドビーコン端末「つぶやきセンサー」で構成される。
これまでの基礎実証実験では、固定型IoT無線ルーター99台を使用し、IEEE802.15.10を用いたWi-SUNによる無線メッシュネットワークを屋内環境に構築。1台のIoT無線ルーターが受信したセンサー情報を、他の98台のIoT無線ルーター全てに転送する同報動作を確認した。
今回の実証実験では、東京都墨田区を中心としたエリアにおいて、自販機/飲料補充車両/タクシーにIoT無線ルーターを設置し、地域に構成可能なIoT無線サービスエリアを検証する。また、構築したIoT無線サービスエリアで、業務をしながらの「見守り」や子供の飛び出しなど「交通安全」に関わる注意喚起サービス、タクシー事業者のための乗客発見支援サービスなどの実用性を検証する。
今後は、アサヒ飲料と共同でより広いエリアでIoT対応自販機の試験展開を進め、これを活用した地域IoT基盤が生み出す新たな価値とサービスの検討、実証実験を行うとしている。
アサヒ飲料の飲料自動販売機の拠点を活用したIoT無線サービスエリアの見通し。Wi-SUNメッシュネットワーク化なし(100拠点)(左)とWi-SUNメッシュネットワーク化あり(70拠点)(右) 出典:NICT
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