2020年に10万人不足するトラックドライバー、自動運転は物流を救えるか:人とくるまのテクノロジー展2017 講演レポート(2/2 ページ)
DeNAと共同で新しい物流サービスの開発に取り組むなど、自動運転技術の活用に積極的なヤマト運輸。ヤマトグループ総合研究所の荒木勉氏が、自動運転技術がもたらす物流サービスの可能性や物流業界の将来の課題について説明した。
自動運転があれば、荷物を欲しい時に欲しい場所で受け取れる
荒木氏は続いて、ロボネコヤマトの2つのサービスを紹介した。ロボネコヤマトは自動運転技術を活用した物流サービスの開発に取り組むプロジェクトで、DeNAのIT技術を活用した自動運転関連のサービス設計ノウハウと、ヤマト運輸の物流ネットワークを組み合わせる。
現在、「ロボネコデリバリー」と「ロボネコストア」という2種類のサービスの実用実験を行っている。どちらも、欲しい時に欲しい場所でモノを受け取れるのが特徴だ。荷物の受け渡しには荷物の保管ボックスを搭載した専用車両を使う。神奈川県藤沢市の鵠沼海岸、辻堂東海岸、本鵠沼の3エリアで2018年3月31日まで実用実験を実施する。
ロボネコデリバリーは宅配便の荷物の受け取りに対応しており、対象の地域に住んでいるクロネコメンバーズ加入者が利用できる。実用実験では、受け取り可能な時間帯は通常の宅配便と同じ8〜21時となっているとなっている。従来の時間指定が2時間単位だったのに対し、10分単位の細かい指定が可能だ。事前に予約は必要だが、依頼から最短40分で商品が届く。
ロボネコストアは地域の約20の加盟店の商品を購入できるサービス。実用実験範囲内の配送先であれば誰でも利用できる。アクセスが不便な商店からも購入できるメリットがある。
利用できる時間は加盟店に準じて8〜21時となっているが、注文してから最短40分程度で商品は届く。利用料は1回の購入が税込み3000円以上の場合は無料で、3000円未満の場合は324円かかる。現在3台ある配送車は有人運転だが、2018年に高度な自動運転システムを部分的に入れていく計画だ。
インターネット通販で注文した翌日や当日に品物が届くなど、宅配便の利便性が向上する一方、度重なる再配達や取り扱い個数の増加で人手不足の現場は悲鳴を上げている。そうした現状を救うだけでなく、新しくより利便性の高いサービスの実現するためにも、自動運転技術を活用しやすい環境の整備が求められる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 自動運転の宅配「ロボネコヤマト」、まずは非対面の荷物受取から実用実験
DeNAとヤマト運輸は、2017年4月17日から2018年3月31日まで神奈川県藤沢市内の鵠沼海岸、辻堂東海岸、本鵠沼の3エリアで、自動運転社会を見据えた「ロボネコヤマト」プロジェクトの実用実験を始める。まずは、非対面型受け取りサービスの検証が実験の中核となる。 - 自動運転宅配サービス「ロボネコヤマト」はなぜ“実用実験”なのか
ディー・エヌ・エー(DeNA)とヤマト運輸は、自動運転技術を活用した次世代物流サービスの開発を目的とする実用実験プロジェクト「ロボネコヤマト」を発表した。2017年3月から1年間、政府が指定する国家戦略特区で実施する。 - DeNAが日産と自動運転サービスで協業、ZMPとは“運営方針の違い”で提携解消
ディー・エヌ・エー(DeNA)は、日産自動車の自動運転車を活用した新たな交通サービスのプラットフォーム(基盤)の開発を決定した。併せて、ベンチャー企業のZMPとの間で締結していた自動運転に関する業務提携も解消する。 - 自動運転よりライドシェアが熱い? 特許からみるIT企業の自動車ビジネス
特許分析の専門会社、ランドンIPの中島顕一氏が、自動車分野でのIT企業の動向を紹介した。特許の出願傾向から、各社の自動車技術の開発方針が見えてくる。 - 配車サービスにとどまらないUberの野望
2014年3月に日本市場への参入を果たした配車サービスのUber。同社は、配車サービス以外の取り組みも積極的に展開しており、集荷、ランチ配達、引っ越し、果ては子猫のレンタルなども行っている。自動運転技術の開発にも乗り出すなど存在感は日増しに大きくなっているが、Uberの狙いはどこにあるのだろうか。