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自動運転よりライドシェアが熱い? 特許からみるIT企業の自動車ビジネス人とくるまのテクノロジー展2017 講演レポート(1/2 ページ)

特許分析の専門会社、ランドンIPの中島顕一氏が、自動車分野でのIT企業の動向を紹介した。特許の出願傾向から、各社の自動車技術の開発方針が見えてくる。

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ランドンIPの中島顕一氏
ランドンIPの中島顕一氏

 自動車に関する最新技術を集めた「人とくるまのテクノロジー展2017」(2017年5月24〜26日、パシフィコ横浜)の講演会に特許・商標調査や特許分析の専門会社であるランドンIP アナリティクスグループディレクターの中島顕一氏が登壇。「特許分析から読み解くIT企業が進める次世代自動車技術の動向」をテーマに、特許情報から分析した自動車分野でのIT企業の動向を紹介した。

 ソフトウェア技術との融合が加速する自動車業界で、新たなプレイヤーとしてIT企業各社が参入している。最近では「Googleから分社したWaymoが完全自動運転のテスト車を生産」、「Appleが自動運転実験の認可を得て、走行実験を開始」といった報道から分かるように動きが活発化してきた。

特許情報から見えてくる、自動車分野でのIT企業の動向とは?
特許情報から見えてくる、自動車分野でのIT企業の動向とは?(クリックして拡大) 出典:Google

 中島氏はAppleとWaymoに加えて、Microsoft(マイクロソフト)やIBM、Google、Amazon、Baidu(百度)、Uber、ソフトバンクのグループ会社SBドライブ、DeNAといったIT企業の特許を分析。この10社が出願人となった自動車関連の特許件数は、2007年以降約1100件あるという。

 保有する全ての特許に対して自動車関連が占める比率は、Waymoが約9割、Uberが約6割となっているが、それ以外の企業では1%前後にとどまる。しかし、2012年以降はWaymo、IBM、Baidu、Uberを中心に出願件数が大幅に増えている。特許の内容は、自動運転や運転支援、物体検知、バッテリーの充放電、ナビゲーション、交通情報監視、ライドシェア、ロジスティクス、モバイル、車載部品など多岐にわたる。

特許出願傾向から見える、自動車分野の取り組みの違い

 特許の出願傾向から、IT企業各社の自動車向けの技術開発に対する姿勢も見えてくる。Microsoftは「特許出願件数が減少傾向にあり、ここからは積極的に次世代自動車の開発に注力する姿勢は読み取れない」(中島氏)。技術内容については地図やナビゲーションシステム、ユーザーインタフェースとエンターテインメント向けが多いという。IBMは交通監視などのインフラに関連した特許が多く、車両自体の技術よりもITソリューションサービスを前提としている傾向がみられる。

スマートフォンを接続するインフォテインメントシステムが日本でも利用可能だ。写真はApple「CarPlay」(左)と、Google「Android Auto」(右)(クリックして拡大)

 Appleは、スマートフォンの「iPhone」やウェアラブル端末の「アップルウォッチ」のユーザーがより快適になるコンテンツを提供することに注力しており、「自動車そのものの技術を開発している傾向はここからは見られない」(中島氏)。

 Googleも、スマートフォン向けOS「Android」と地図やナビゲーションなどのアプリケーションサービスを中心にした出願が中心。自動運転を強く意識したものは少ない模様だ。一方、Googleの関連会社であるWaymoは自動運転の制御系からブレーキ、ショックアブソーバ、エアバッグなど部品まで幅広く出願しており、独自の自動車開発を進めている傾向が伺われる。

 Amazonは配送ルートや配送車両の管理・最適化に関する技術が多い。基本的に物流の効率化を狙った倉庫や配送の管理に特化している。ロジスティクスの効率化を自社のサービスに生かすことが目的のようだ。

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