自動運転よりライドシェアが熱い? 特許からみるIT企業の自動車ビジネス:人とくるまのテクノロジー展2017 講演レポート(2/2 ページ)
特許分析の専門会社、ランドンIPの中島顕一氏が、自動車分野でのIT企業の動向を紹介した。特許の出願傾向から、各社の自動車技術の開発方針が見えてくる。
ライドシェア関連の特許出願は活発
Baiduは、出願が中国に集中する傾向がある。自動運転制御の研究開発を行っている他、車両制御のテスト方法も出願している。これらの動きから見て「市場としては中国を第一に考えており、その中国でデファクトスタンダードを創っていこうとしていることが予想される」(中島氏)。Baiduはライドシェアの特許も出し始めており、シェアリングビジネスも視野に入れている可能性が高い。
自動運転の特許出願は減少傾向である一方、ライドシェアに関する特許は2014年あたりから増加傾向にある。ライドシェアの分野では、WaymoがLyftと協業したり、Googleが相乗りサービスの交通情報を提供していたWazeを買収したりとこのところ大きな動きが見られる。中島氏はその動向を加味して「Waymoは、自動運転技術とライドシェア、そしてGoogleのサービスプラットフォームの組み合わせによって自動車市場に参入してくることも予想される」と分析する。
Uberは経路選択・課金方法などライドシェア向けの特許を出願してきたが、2015年以降、自動運転の制御系の特許が増加している。今後、ライドシェアと自動運転を組み合わせたビジネスを提供してくる可能性が高い。
日系企業はソフトバンクが協業している先進モビリティが自動運転で4件の特許を出願。DeNAはヤマト運輸と「ロボネコヤマト」を設立し、日産自動車の小型商用電気自動車を使って実証実験を行っている。ただソフトバンク、DeNAともに出願数は少なく、全体的に国内IT企業はサービスプロバイダーの強みを生かして大手自動車メーカーなどと実用化に向けた連携を行う傾向にあると中島氏は見ている。
今回取り上げた、10社のうち中島氏は「Waymo、Baidu、Uberの3社は自動運転とライドシェアの技術に加えて既に強力なサービスプラットフォームを持っている。おそらく無人運転車のライドシェアが実用化され、そのサービスが彼らのサービスプラットフォーム上に乗ることで一気に展開する時が、次の大きな変化点となる」と予測する。
特許情報による見通しではあるが、サービス側の技術やプラットフォームに強みを持ったIT企業が新たな市場を開拓する時代が近づきつつある。
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