特集
IoT理解度は20カ国中最下位、日本企業に横たわる「高すぎる理想」:製造業IoT(3/3 ページ)
HPE ArubaはIoTの活用度についてのグローバル調査を行い、調査結果を発表した。20カ国の中で日本はIoT理解度で最下位、行動レベルで19位となり、海外に比べて消極的な姿勢が目立つ結果となった。
IoT普及を阻むセキュリティ問題
IoT普及を阻む要因としては、コスト関係などのさまざまな要因が上位に上がるが、特に日本でトップとなったのが「セキュリティ上の懸念」である。IoTにおけるセキュリティは常に関心の高い項目ではあるが、50%以上の回答者が挙げた国は、日本とサウジアラビアとオーストラリアのみ。他国では「導入コスト」を最も大きな課題と挙げたところが多かった(図9)。
こうした環境の中でHPE Arubaでは「調査結果を見ると、IoTの導入効果が出ているということは結果として出ているように思う。その中で日本がIoT導入に踏み切れない要因としてはセキュリティの課題がある。こうしたセキュリティの懸念を取り払っていく提案が必要になる」(田中氏)としている。
さらに「IoTの導入は世界と比べて日本の方が進んでいるというのが体感だ。しかし、調査結果では消極的だという結果が出た。これは、日本企業が求めるIoTのレベル感や理想が高いことに起因するように感じている。日本企業が高度なIoTを創造性を発揮して実現できる環境を支援していくことが役割となる。その意味では安全で使い勝手の良いネットワークインフラを簡単に導入できるようにしていく」と田中氏は今後の取り組みについて述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- HPEのIoT戦略は「シフトレフト」、エッジにサーバ「Moonshot」の処理能力を導入
日本HPEがIoTへの取り組みについて説明。「モノ」に近い現場で、IoTデバイスからの情報の分析や最適化を行う「エッジコンピューティング」を重視した「シフトレフト」という考え方に基づき事業展開を進めて行く方針だ。 - 第4次産業革命の真の幕開けとなる2017年、カギを握るIoTプラットフォーム
2016年は製造業におけるIoT活用が具体的なものとして進展した1年となったが、2017年もその流れはとどまることはない。実導入や実活用に向けた本格的な動きが広がる中で2016年に注目を集めたのが、IoTを活用する基盤「IoTプラットフォーム」である。さまざまな解釈、さまざまなレイヤーのIoTプラットフォームが乱立する中、2017年はIoT基盤の整理が進む1年となる。 - 第4次産業革命を支えるIoTプラットフォームって結局何なの?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第10回となる今回は、2016年から雨後のタケノコのように乱立する「IoTプラットフォーム」について説明したいと思います。 - ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】
「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉をご存じだろうか? 「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が産官学の総力を結集しモノづくりの高度化を目指す戦略的プロジェクトだ。インダストリー4.0とは何なのか。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。 - 第4次産業革命、2030年に日本の製造業が“あるべき姿”とは?
第4次産業革命にどう立ち向かうべきか。安倍政権における「ロボット新戦略」の核として取り組みを進める「ロボット革命イニシアティブ協議会」で、製造業のビジネス革新をテーマに取り組む「IoTによる製造ビジネス変革WG」が中間とりまとめを公表。日本の製造業の強みである「人」や「現場力」を生かしつつIoTなどを取り込む上での論点をまとめた。 - 製造業のIoT活用、他社に“差”をつける考え方
製造業で活用への注目が集まるIoT。しかし、具体的にどういう取り組みを計画すべきなのか戸惑う企業が多いのではないだろうか。また、IoT活用を企業としての利益に結び付けるにはどうしたらよいかという点も悩ましい。本連載「もうけを生む製造業IoTの活用手順」ではこうした製造業のIoT活用のポイントを解説していく。