IoT理解度は20カ国中最下位、日本企業に横たわる「高すぎる理想」:製造業IoT(2/3 ページ)
HPE ArubaはIoTの活用度についてのグローバル調査を行い、調査結果を発表した。20カ国の中で日本はIoT理解度で最下位、行動レベルで19位となり、海外に比べて消極的な姿勢が目立つ結果となった。
一定レベルの「IoT全くやる気なし」層
導入水準についても、日本ではあらゆる段階で低水準となったことに加えて、特筆すべきは「今後も導入予定がない」層の多さである。「今後の導入は未定」および「分からない」とした回答が、いずれもグローバルやアジアパシフィックの水準の2倍以上となっており、積極的に導入を計画する海外企業との差が際立つ結果となった(図3)。
さらに、「IoT導入でどの部署が恩恵を受けるか」の質問に対しては、日本企業は軒並み低水準であることに加えて、他国との大きな違いとなったのが「IoT全くやる気なし」という層の存在である。IoT効果について「どの部署にも恩恵はない」とした回答者が13%存在し、これは他国の水準の4倍以上という状況である(図4)。
IoTは確実に期待以上の効果を生み出す
こうした低い期待の一方で、IoTに対する期待と効果を比較すると、導入前の期待に対してそれ以上の実績を生み出しているという結果も出ている。日本でも期待の水準は低いものの、実績は期待を上回っており、IoT導入が実績を残していることを示している(図5)。
さらに、IoTに対する期待と実際の効果の内訳について世界データと日本のデータを見比べてみると、全般的に導入前の期待が日本の場合は非常に低いことが分かる。また、世界ではイノベーションを期待するのに対し、日本ではセキュリティを期待するという不可解な結果となっている。田中氏は「日本では工場など閉鎖環境で、従来セキュリティを考えていないような領域が多かったが、IoTを活用することでセキュリティ対策を行うことになり、結果としてセキュリティレベルが上がるというようなことではないか」と推測する。
ただ、「ITの有効性」や「収益性」「イノベーション」などの領域では実績レベルで高い効果があったとしており、日本では慎重な姿勢を示してはいるものの、実際に世界と同様大きな成果を得ることができていることが分かる(図6、7)。
既に導入している企業で、IoTを導入する領域としては、「モニタリングおよびメンテナンス」での活用が68%で最多となった。これは、グローバルやアジアパシフィックの水準ともそれほど変わらない(図8)。
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