CeBIT 2017が日本の製造業に残したもの:いまさら聞けない第4次産業革命(12)(3/3 ページ)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第12回となる今回は、第4次産業革命に関連してさまざまな動きがあったドイツの「CeBIT 2017」の動向についてまとめます。
日本企業の積極出展は今後につながるか
こうした積極的な政府間連携の一方で、日本企業の提案はどうだったのでしょうか。
見に行ってみて、日本企業の出展はどうだったの?
それが、なんともいえないんですよね。積極的にアピールをして、盛り上がっているブースもある一方で、ブースの担当者そのものが戸惑っているところもあったような……。
おや、まあ。それはもったいない。
CeBITは、情報通信技術(ICT)を中心とした見本市であり、出展企業のメインはIT企業となります。しかし、今回CeBIT 2017に出展した日本企業118社の多くは、製造業でした。これは、日本がパートナーカントリーとなったことによりジャパンパビリオンが設けられたということが要因としてあります。
その中で、実際に「欧州市場を開拓する」「新たな取引先を見つける」「欧州での取り組みをアピールする」など明確な目的があれば、失敗しても次につながるものとなります。しかし、今回出展した日本企業の多くが「政府からの依頼があって出展した」ということを動機としており、多くの企業がこのチャンスをうまく生かせていなかったように見えます※)。
※)関連記事:CeBIT 2017を盛大な打ち上げ花火で終わらせないために
ドイツと日本は似た経済構造だけど、大きな違いの1つに中堅以下企業の海外取引の比率があるわ。こうした出展のチャンスを生かすのか、生かさないのかというところにも違いが出ているような気がするわ。
日本では中堅中小企業の海外取引率が非常に少なく、国内の大手企業しか視野になかったことが、企業の新陳代謝を起こりにくくしガラパゴス化や産業の停滞を招いているという面があるといえます。海外を視野に入れた中堅中小企業では、海外の展示会に何度も出展し、失敗を重ねながらも新たな取引先を獲得し、業容を大きく変革してきた企業も数多く存在します。そうした取り組みを見ていると、「CeBIT 2017」での日本企業の取り組みは、“打ち上げ花火”で終わってしまいそうな寂しさを感じています。
さて今回は、「CeBIT 2017」の動向についてまとめてみました。次回は同じくドイツのハノーバーで開催される「ハノーバーメッセ」で生まれる新たな第4次産業革命の動きについて紹介したいと思います。
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確かに盛り上がりましたが、次につなげなければ意味はありません。
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