医療従事者が一人で着脱できる手術用ガウン:医療機器ニュース
大阪大学は、医療従事者が一人で清潔・安全かつ速やかに着脱できる手術用ガウンを大衛およびトクセン工業と共同開発し、「セルフガウン」として実用化したと発表した。
大阪大学は2017年3月13日、医療従事者が一人で清潔・安全かつ速やかに着脱できる手術用ガウンを大衛およびトクセン工業と共同開発し、「セルフガウン」として実用化したと発表した。経済産業省の支援を得たもので、同年4月10日に商品化を予定している。
従来のガウンは首・内・腰ひもを結ぶ際、サポートスタッフの介助がないと清潔に着脱できない設計だった。それに対し、今回開発されたセルフガウンは、首ひもの代わりにバネ性のある特殊リングを首周りに編み込み、背中の引き合わせ構造を立体設計することで内ひもを廃止した。さらに、腰ひもに特殊なミシン目加工を施し、粘着テープによる仮止め機能を採用し、介助がなくとも着脱できる方式となっている。
また、施術後に脱ぐ際も、グローブ(手術用手袋)を内側に巻き込みながら一緒に脱げる。従来のガウンは、先にグローブをはずしてから背面のひもをほどいて脱ぐため、グローブに付着した感染性物質が飛沫し周囲を汚染するリスクがあった。それに対しセルフガウンでは、このリスクがない。
バネ性のある特殊リングはトクセン工業が考案し、大衛がガウン首周りに編み込んだ。そして、同大学国際医工情報センター次世代内視鏡治療学共同研究部門の中島特任教授らの研究グループの指導のもと、約2年かけて開発した。
同ガウンは、医療現場の業務改善や各種医療事故の防止に寄与し、また、大規模災害や救急、感染症アウトブレイクの現場などでも医療従事者の迅速な対応を可能にする。将来的には医療分野のほか、介護分野や塵芥処理、放射性物質除染作業などさまざまな分野への応用も可能だという。
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