機械と人間の最強タッグ、資生堂が人型ロボットを化粧品生産ラインに導入:協働ロボット
資生堂は、同社掛川工場のメーキャップ製品の組み立て工程に産業用人型ロボットを試験導入した。作業者1人、ロボット2台のチームで組み立てを行う。
資生堂は、2017年3月より掛川工場のメーキャップ製品(化粧品)の組み立て工程に産業用人型ロボットを試験導入したことを明らかにした。
化粧品業界では、エンドユーザーのニーズ多様化に合わせ、多品種少量生産に適応した新たなモノづくり手法の構築が課題となっている。特にメーキャップ製品の生産ラインは構成材料が多く、ケース組み立て、レーベル貼り付けなど工程が複雑化しており、機械による自動化が難しい状況となっていた。さらに、人の感性を必要する工程内検査も機械で代替できないため、従来は人手による生産が主流となっていた。
一方で、日本では労働力不足も課題となってきており、今後ロボットの活用により、人手に頼った生産体制を見直し、複数の生産ラインを1人で管理・検査・判断するなどの必要性に迫られている。
これらの課題に対応するため、資生堂では、経済産業省の「ロボット導入実証事業」を活用し、ロボットシステム開発で先進するグローリーとともに、「人とロボットの協働作業」による新たな生産システムを開発、実証、導入することを決めた。
具体的には、メーキャップ製品を行う掛川工場の組み立てラインにおいて、形や材質の異なる複数のパーツを、作業者1人、人型ロボット2台で組み立てを行い、最終製品に仕上げる。人型ロボットは、専用の製造装置や従来の産業用ロボットでは自動化できなかった工程を担う。一方で作業者は微細なキズなどを発見する検品作業に専念する。これにより、作業効率と品質の両立を実現する。
資生堂では、「人とロボットの協働作業」によって、労働力不足などの環境変化に備えるとともに、市場変動にこれまでよりも柔軟に対応できる新しいモノづくりの姿を模索する。さらに今回の開発の成果を発展させ、より作業者負荷を低減した効率的なモノづくりを実現し、将来的にはAI(人工知能)技術を取り入れ、ロボット同士もより高次元で作業共有できるスマート工場の実現を目指すという。
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