PSAがGMからオペルなど欧州事業を買収、2020年に黒字化達成へ:製造マネジメントニュース
GMは、ドイツのオペル(Opel)や英国のボクスホール(Vauxhall)などの欧州事業をPSAグループに譲渡する。譲渡金額は22億ユーロ(約2650億円)。これにより、欧州の自動車市場におけるPSAグループのシェアは17%となり、フォルクスワーゲングループに次ぐ第2位となる。現在、オペルとボクスホールは赤字だが、PSAグループへの統合によるシナジー効果で2020年までに黒字化する計画だ。
GM(General Motors)とPSAグループは2017年3月6日(欧州時間)、GM傘下の欧州ブランドであるドイツのオペル(Opel)と英国のボクスホール(Vauxhall)を、PSAグループに譲渡することで合意したと発表した。併せて、GMの欧州における金融事業をPSAグループに譲渡する契約でも合意している。これにより、GMの欧州事業がPSAグループに譲渡されることとなった。
譲渡金額はオペルとボクスホールが合わせて約13億ユーロ(約1570億円)、欧州の金融事業が約9億ユーロ(約1080億円)で、合計22億ユーロ(約2650億円)となる。2016年のオペルとボクスホールを合わせた売上高は約177億ユーロ(約2兆1350億円)であり、PSAグループは両ブランドを傘下に収めることで、欧州の自動車市場におけるシェアは17%となり、フォルクスワーゲン(Volkswagen)グループに次ぐ第2位となる。譲渡は2017年内に完了する予定だ。
PSAグループが展開するブランド。上側の2つがGMから譲り受けるオペルとボクスホール。下側にあるのが、プジョー、シトロエン、プレミアムブランドのDS、モビリティーサービスなどを扱うフリー2ムーブ(Free2Move)である(クリックで拡大) 出典:PSAグループ
PSAグループは、プジョー(Peugeot)やシトロエン(Citroen)とのシナジー効果により、オペルとボクスホールの製造や研究開発のコストを削減したい考え。2026年までに約17億ユーロ(約2040億円)のコスト削減を見込む。その上で、現在赤字のオペルとボクスホールの営業利益率を2020年時点で2%、2026年時点で6%まで高めるとしている。
オペルとボクスホールは、6つの自動車組み立て工場と5つの部品工場、1つのエンジニアリングセンター(ドイツのリュッセルスハイム)を有している。今回の譲渡契約には、これらの拠点と約4万人の従業員が含まれる。なお、イタリア・トリノのエンジニアリングセンターはGMが保有を続ける。
GMの欧州における金融事業は、PSAグループとBNPパリバ(Paribas)が50%ずつで折半して買収する。買収後の事業はPSAグループとBNPパリバの合弁企業が運営する。
PSAグループ 取締役会会長のカルロス・タバレス(Carlos Tavares)氏は「オペルとボクスホールのブランドや資産とともに従業員も尊重し、PSAグループ、オペルとボクスホール、それぞれのブランドアイデンティティーを活用していく」と語る。
GM 会長兼CEOのメアリー・バーラ(Mary Barra)氏は「長期的視点から見て、オペルとボクスホールはより強固な地位を獲得できるようになるだろう」と述べている。
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