工場や物流現場を映像で支援、FedExも導入する新サービスが日本上陸:製造ITニュース
リモートデスクトップサービスを展開するスプラッシュトップは新たに、遠隔での端末管理サービスを開始する。作業員のAndroidデバイスを管理し映像や写真などのやりとりを行うことで作業支援を実現する。
リモートデスクトップサービスを展開するスプラッシュトップは2017年3月1日、作業者が持つAndroid端末を遠隔地から操作可能な「Splashtop Enterprise for IoT」を発売すると発表した。
同社は2006年に創業した米国のベンチャー企業で、オフィスPCを外部からスマートデバイス経由で扱えるリモートデスクトップアプリを展開してきた。パーソナル版のユーザー数はグローバルで1800万人を超えているという。さらに同アプリの業務用サービスも展開しており、国内では2012年から販売。既に3000社、2万ユーザー以上の利用者を獲得している。
新たに展開する「Splashtop Enterprise for IoT」は、この従来展開してきたサービスと逆のシステムで、オフィス側のPCから外部のスマートデバイスを管理したり、指示を出したりできるものである。例えば、現場で事故が起こったときなどに現場の映像を撮影してそれを見ながら、本部が対応を指示することなどが可能。さらに本部から現場の地図や図面などを送ったり、端末の操作を行ったりすることも可能だ。
スプラッシュトップの創業者で社長兼CEOであるマーク・リー(Mark Lee)氏は「現場と本部の間で、状況把握の負担が大きく、不要なコストが生まれる場合は多い。新サービスを使うことでこれらのコミュニケーションを容易に行える」と価値について述べている。
既に米国では、2016年11月にリリースしており、すぐに物流大手のFedExが採用を決めたという。段階的に導入を進め最終的には10万近いデバイスの管理を行うという。リー氏は「病院や小売店などの他、製造業などでも導入が進んでいる。日本は大きな市場であるので早期に導入事例を作りたい」と語る。
同サービスは、オンプレミス型であり、ユーザー企業のサーバにシステムを実装する必要がある。さらに管理用のPCと、管理するスマートデバイスにアプリをインストールする必要がある。オンプレミス型を採用する理由についてリー氏は「データを外に出したくないというセキュリティ面でのニーズが大きい」と述べている。
価格は1ユーザー当たりで、初期投資が2500円、その後年間500円ずつかかるという。管理可能なスマートデバイスについては、現状ではAndroid端末に限られる。2017年3月末以降はWindows 10 IoTにも対応する計画である。iOSについては「現状では対応する計画はない」(スプラッシュトップ日本法人 代表取締役 水野良昭氏)。クラウド対応については2017年第2四半期(4〜7月)中に選択肢として用意するとしている。
日本での展開においては、パートナーとしてモバイルシステムを手掛けるヒットと協力していく。既にパナソニックが業務用の堅牢ハンドヘルドとして展開する「TOUGHPAD FZ−N1」などとの共同展開なども計画しているという。同社では初年度に1万ID分の販売を目指すとしている。
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