2016〜2021年までの世界のモバイルデータ・トラフィックの動向を調査:製造業IoT
米Cisco Systemsが2016〜2021年までの5年間の世界のモバイルデータ・トラフィックの動向を調査・分析した年次報告書を発表した。5年間で世界のモバイルデータ・トラフィック量は7倍に拡大すると予測している。
米Cisco Systemsは2017年2月7日(現地時間)、2016〜2021年までの5年間の世界のモバイルデータ・トラフィックの動向について調査・分析を行った年次報告書「Cisco Visual Networking Index Global Mobile Data Traffic Forecast 2016 - 2021」を発表した。5年間で世界のモバイルデータ・トラフィック量は7倍に拡大し、2020年をめどに5Gネットワークの本格導入が開始されると予測している。
同報告書では、2021年には世界の全人口が使用する携帯電話の数(55億台)が銀行口座の数(54億件)、水道(53億件)や固定電話(29億件)の契約数を上回ると予想。モバイルデータ・トラフィックは今後5年間で7倍に拡大すると見込んでいる。
2021年にモバイルデータ・トラフィックがIPトラフィック全体に占める割合は、2016年の8%から20%に拡大すると予測。M2Mモジュールを含むモバイルデバイス数は80億台から120億台に増加し、人口1人あたりのモバイルデバイス数は1.1台から1.5台になる。世界のモバイルネットワークの平均通信速度は、6.8Mbpsから20.4Mbpsと約3倍になると予測する。
さらに、IoT(モノのインターネット)の拡大により、M2M接続が全モバイル接続に占める割合は大幅に増加し、2016年の5%(7億8000万)から2021年には29%(33億)となる。全モバイル接続に占める4Gの割合は、26%から58%まで上昇。世界のコネクテッドデバイスと接続の50%以上を「ファブレット(スマートフォンとタブレットのハイブリッド)」を含むスマートフォンが占めるようになり、世界のスマートフォンの数は、36億台から62億台に増加すると予測している。
また、モバイル通信システムについて同報告書では、2020年をめどに5Gインフラの大規模な導入が始まるとする。2021年までに5G接続が全モバイルデータ・トラフィックの1.5%を占めるようになると予測している。
2021年の予測と今後のトレンドとして、世界のモバイルデータ・トラフィックの量は2021年には1カ月あたり49エクサバイト、年間587エクサバイトとなり、2011年からの10年間で122倍に増加する。モバイルビデオが成長して2016年の8.7倍に拡大し、モバイルトラフィック全体の78%をモバイルビデオが占めるようになると予測。ライブモバイルビデオが大きく拡大すると見込む。
今後、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)が拡大し、VRヘッドセットの数は2016年から2021年の間に1800万個から1億個近くまで増加、世界のVRトラフィック量は11倍に、ARトラフィック量は7倍に増加すると予測。ウェアラブルデバイスも3倍に増加し、セルラー接続が組み込まれたウェアラブルデバイスの数は、1100万台から6900万台に増加すると予測する。モバイルデータ・トラフィックのWi-Fiへのオフロードもさらに進み、Wi-Fiトラフィックが増加すると見込んでいる。
モバイルデータ・トラフィックの2016年から2021年の地域別増加率では、中東およびアフリカが12倍と大きく伸び、アジア太平洋が7倍でそれに続くと予想する。
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