フォグコンピューティングの基盤となるリファレンスアーキテクチャを発表:製造業IoT
米OpenFog Consortiumは、IoT、5GおよびAIアプリケーションに対応した、フォグコンピューティングのためのユニバーサル技術フレームワーク「OpenFog Reference Architecture」を発表した。業界標準開発の基盤を提供する。
米OpenFog Consortiumは2017年2月8日(現地時間)、IoT(モノのインターネット)、5GおよびAIアプリケーションなどのデータ集約的な要件に対応して設計された、フォグコンピューティングのためのユニバーサル技術フレームワーク「OpenFog Reference Architecture」(OpenFog RA)を発表した。フォグベースのソリューション設計のためのオープンフレームワークを定義し、業界標準開発の基盤を提供する。
フォグコンピューティングは、クラウドから末端デバイスへの継続性を保ちながら、データ作成元に近い場所(フォグノード)でコンピューティング、ストレージなどの機能を提供する仕組み。IoTシステムでのネットワークの遅延や帯域、信頼性、セキュリティの問題に対応する技術の1つだ。
今回のOpenFog RAは、フォグコンピューティングの業界標準につながるガイドラインとなるもの。フォグノードのシステムアーキテクチャやネットワーク、展開モデル、階層モデル、ユースケースなどについて、中級および上級管理職向けの概観を提供する。
また、「OpenFog」と定義されるためにシステムが装備する必要があるアーキテクチャのコア技術の原則として、セキュリティ、拡張性、オープン、自主性、RAS(信頼性、可用性、およびサービス容易性)、アジリティ、階層、プログラマビリティの「8つの柱」が挙げられている。
運輸、ヘルスケア、製造、エネルギーなどの業界で扱われるデータは膨大で、今後も増大が見込まれることから、クラウドのみのアーキテクチャや業務が課題となっている。そこで、OpenFogアーキテクチャを利用することで、フォグからモノへ、フォグからフォグへ、フォグからクラウドへといった複数層のフォグノードを搭載でき、こうした要件にも対応できるとしている。
OpenFog RAは、OpenFog Consortiumで開発中の一連の文書の一部で、今後、定量的なテストベッド、認証、およびフォグエレメントの相互運用仕様のベースとなる公式の要件一覧など、最新の要件や現場向けの詳細などを提供していく予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- IoTが製造業のサービス化を呼ぶ?
モノ売りからコト売りへ――。IoT(モノのインターネット)の進展により、一昔前に製造業の周辺で言われてきたサービスビジネス拡大の動きが本格的に広がりを見せ始めています。しかし、「モノ」を主軸としていた製造業が「コト(サービス)」を中心としたビジネスモデルに切り替えるのは容易なことではありません。そこで本稿ではサービスビジネスの基本的な話を分かりやすく解説していきます。 - 製造業に襲い掛かる第3次IT革命の波
経済学者マイケル・ポーター氏と米国PTCの社長兼CEOであるジェームズ・ヘプルマン氏の共著でるIoTに関する論文「IoT時代の競争戦略」が公開された。PTCジャパンでは、同論文の内容を解説する説明会を開催した。 - 製造業向けIoT活用入門
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)に注目が集まる一方で、製造業がIoTを活用するための道筋は見えづらい状態にある。本稿では、幾つかの代表的なIoTの活用シーンを紹介するとともに、自動車向けテレマティクス(カーテレマティクス)を具体的な事例として、製造業がIoTから得られるメリットについて解説する。 - 「M2M」「IoT」「クラウド」――“つながる技術”が切り開く組み込みの未来
2013年11月20〜22日の3日間、パシフィコ横浜において恒例の組み込み関連イベント「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」が開催された。本稿では、多数のブースの中から“これからの組み込み技術”という視点でピックアップした展示デモの内容を紹介する。 - IoTのビジネスチャンスをどう見つけるか?
IoT(モノのインターネット)の進展により製造業においてもサービスビジネス拡大が期待されています。本連載ではサービスビジネスの基本的な話を分かりやすく解説しています。4回目となる今回はサービスビジネスにおけるマーケティング戦略について解説してきます。