なぜIVIは新たなスマート工場モデルを打ち出すのか:スマートファクトリー(2/2 ページ)
「緩やかな標準」を掲げ、日本版スマート工場の実現を目指すIVI。2016年12月には新たにスマート工場の基本モデル「IVRA」を打ち出した。その狙いは何なのだろうか。IVI理事長の 西岡靖之氏に話を聞いた。
日本のモノづくりの基本でもある3つの指標
MONOist IVRAの特徴とはどういうものになりますか。
西岡氏 基本的には日本のモノづくりの強さである現場力を取り込んだスマートファクトリーを表現したことが特徴である。具体的には「人を巻き込んだPDCA」「4M(人、機械、材料、方法)※)」「QCDE(品質、コスト、納期、環境)」の3つの視点を取り入れた。これらを4×4×4のブロックで表現することで、どの段階のどのレイヤーの話をしているのかということを、現場作業に基いて議論できるようにしたことが特徴である。この3次元モデルの1つのブロックを「スマートマニュファクチャリングユニット(SMU)」とする。
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さらにこのSMUを組み合わせて企業全体でどういう組み合わせを実現するのかを表現する。こうしたSMUの複合ユニットを「ゼネラルファンクションブロック(GFB)」とし、企業レベルのスマート工場の活動を示す。さらに、SMU間のやりとりを価値、モノ、情報、データの4つと規定するなど、スマートファクトリーに対する企業の活動はおおむね内包することができたと感じている。
MONOist IVRAはどういう場面で役立つと考えますか。
西岡氏 スマートファクトリーの実現には、製造現場のノウハウとICT(情報通信技術)をどう組み合わせて高度化を進めるか、という点が重要になる。しかし、従来はこうした製造系の人材とIT系の人材の交流がなく、それぞれが何を考えて、どういう視点で話しているのかというのが理解できないというコミュニケーションの問題があった。IVRAのようなマクロからミクロまでを内包するモデルを作ることで、どのレイヤーのどういう課題について、解決すべきなのかという、位置付けを明確化した話し合いができる。
一方で、こうした日本発のスマート工場モデルを世界に発信することで、日本のモノづくりの良さを組み込んだ規格作りなども進む可能性が生まれる。実際には、RAMI4.0やIIRAなどについてもまだまだ不十分で、こうした不足部分を補う存在として、日本式モノづくりが期待されている面もある。日本だけの動きで規格化を図るような小さな規格争いは不毛だと思うが、現在の日本式モノづくりの強さを発信していきたい。
つながる工場、つながるモノづくりのための参照アーキテクチャ「IVRA」
スマートファクトリー化の流れの中で注目される「リファレンスアーキテクチャモデル(参照モデル)」。先行する欧米に対し、日本発で新たに発表された「Industrial Value Chain Reference Architecture (IVRA)」は間に割って入れるのか。「ITmedia Virtual EXPO 2017 春」では、IVI 理事長の西岡氏が詳細まで語っています。ぜひご視聴をお願い致します。
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