トヨタがAIカーを開発、豊田社長の「クルマは“愛”がつく工業製品」を結実:CES 2017
トヨタ自動車は、民生機器テクノロジーの展示会「CES 2017」において、クルマが人のパートナーとなるコンセプトカー「TOYOTA Concept-愛i(コンセプト・アイ)」を出展する。
トヨタ自動車は2016年1月4日(現地時間)、民生機器テクノロジーの展示会「CES 2017」(2017年1月5〜8日、米国ネバダ州ラスベガス)において、クルマが人のパートナーとなるコンセプトカー「TOYOTA Concept-愛i(コンセプト・アイ)」を出展すると発表した。
コンセプト・アイは、同社社長の豊田章男氏が折に触れて言葉にする「クルマは“愛”がつく工業製品である」という思いの下、クルマがドライバーの感情や嗜好を理解することでドライバーを支えるパートナーとなることを目指している。数年以内に、コンセプトカーの機能の一部を搭載した実験車両を日本国内で走行させる公道実証実験を行う計画だ。
コンセプト・アイの特徴となるのは3つの技術。1つは人を理解する技術で、感情認識や嗜好に関する情報を蓄積する。具体的には、ドライバーの表情や動作、覚醒度をデータ化したり、SNSの利用、行動や会話の履歴によってドライバーの嗜好を推定したりするなど、複数の情報を組み合わせる。
2つ目は、人を理解する技術を基にした自動運転だ。疲労や感情、覚醒状態に応じてドライバーの知覚に働き掛けながら安全運転に導く。ドライバーを覚醒させる時には、交感神経を刺激するため、青色の光や触覚をフィードバックするストレッチシートを利用する。反対に、リラックスさせる時には、暖色系の光やラベンダーの香り、ゆったりした楽曲を活用して副交感神経を優位にする。
ドライバーが危険な状態にある時には自動運転モードに切り替え、ドライバーが運転に不安を感じている時には自動運転モードを使うよう提案するなど、“ある時は見守り、ある時は助け合う”というトヨタ自動車の自動運転に対する考え方を反映している。
3つ目の特徴は、人を理解する技術によるエージェント機能だ。ドライバーの気持ちを踏まえて先回りした提案をすることで、新たな運転体験を提供する。ドライバーの感情や覚醒度に応じてクルマが話しかけたり、ドライバーの嗜好に応じた話題を提供したりする。さらに、ドライバーの感情と走行データの蓄積を基に、ドライバーが楽しんで運転できるルートも設定できる。
デザインは、米国のCalty Design Researchが担当した。インストゥルメントパネルのデザインの意匠を外装まで連続させたシームレスなスタイリングとした。コンセプト・アイのユーザーエクスペリエンスの中核となるエージェントは、内装だけでなく外装にも登場させ、車外に向かってあいさつや注意喚起をする。
車両サイズは全長4430mm×全幅1830mm×1475mmで、ホイールベースは2700mm。乗車定員は4人で、ゼロエミッションのパワートレインを搭載する。
現在、ホンダや川崎重工も人工知能を活用してドライバーとコミュニケーションを撮るための技術を開発中だ。車両が相棒となることで、運転の楽しさを深めようとしている。
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