検索
特集

なぜソフトバンクが“感情を持った”ロボットを作るのか、孫社長が熱弁Pepper(1/2 ページ)

ソフトバンク「Pepper」が、「人の感情を認識するロボット」から「自らの感情を持つロボット」へと進化し、その姿を現す。発表時からロボットの「心」にこだわってきた孫社長が熱弁を振った。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 「画期的な発明だ」

 “人間の感情を認識するロボット”として2014年6月に発表されたPepperが、“自らの感情”を得るまでに進化し、一般への販売が開始される。ソフトバンクの孫正義社長は2015年6月18日に行われた発表会にてその進化に胸を張り、また、Alibaba GroupとFoxconnから出資を受けて新会社「Softbank Robotics Holdings」を設立、世界展開を狙うことも明らかにした。

 一般販売されるPepperは「周囲の人間の感情を認識する」だけではなく、周囲との関係性で自らの感情(と行動)を変化させる。周囲の人間が放置すれば憂鬱になり、褒められれば明るくなる。感情変化のトリガーは周囲の人間だけではなく、気象情報やスポーツニュースなどもインターネットを介して入手した情報もトリガーとなる。

photo
感情認識から感情生成に
photo
人間の感情生成をモデル化した機能を用い、ロボットながらも感情を生成する

 この感情機能はcocoro SBの開発した「人間が外部からの刺激を受けるとホルモンが分泌され感情が形成される仕組みのモデル化」をベースとしており、Pepperが搭載する感情認識能と各種センサーによって得られた情報を「内分泌型多層ニューラルネットワーク」と呼ぶ構造で処理することによって感情を得る。

 Pepperがどのような感情を抱いているかはロボットアプリ「感情マップ」にて確認できる。発表会ではタレントの今田耕司さんがわざと肩を強く揺すって不安な気持ちにさせ、その後で謝ったり褒めたりすることでPepperの気分が回復する様子が紹介された。

photo
肩を強く揺すって不安な気持ちに
photo
褒め倒して楽しい気持ちに
孫社長によるPepperの感情についての説明
photo
外部刺激によって疑似的なホルモンバランスを作り出す

 「知性や感情を持ったと言っても、人間で言えば2〜3歳程度」と孫氏はPepperのレベルを説明し、それでも知性・感情を持つロボットの投入にこだわるのかについては「力が強い、空を飛べる、それもロボットの価値だが、私は心を持って人間に接することのできるロボットに価値があると信じる。人間が操作をするのではなく、愛によって自律行動するロボットを提供したい」と持論を展開した。

 愛によって自律行動するロボットとなったPepperは2015年6月20日に販売が開始され、当面は月間1000台のペースで販売される。個人向けモデルは1台19万8000円で、これに加えて「基本プラン」(1万4800円×36カ月)と「保険パック」(9800円×36カ月)が用意される。オンライン購入する場合、基本プランと保険パックの加入は必須となる。

 専用のアプリやサポートが用意される法人向けモデル「Pepper for Biz」も2015年秋から提供の予定だ。接客や受け付けといったサービス業務の他、介護や医療、製造などの各業種に向ける。“お試し”のため、1時間1500円での「アルバイト派遣」も開始する。

photo
「Pepper for Biz」では保守サポートや外国語対応、アプリ配信管理、データ分析などもあわせて提供する

 Softbank Robotics Holdings設立にあたり、20%ずつの出資を行ったAlibaba GroupのJack Ma会長と、FoxconnのChairman兼CEO Terry Gou氏がゲストとして登場(出資についてはAlibabaとFoxconnが20%ずつ、Softbankが60%)。ロボット市場の躍進を期待するコメントを寄せた。ただ、海外展開について現時点での具体的な発表はなく、Alibabaのアジア圏での販売網、Foxconnの生産力に期待しての協力関係強化。

photo
左からAlibaba GroupのJack Ma会長、孫正義氏、FoxconnのTerry Gou Chairman兼CEO

以下、発表会後に行われた質疑応答の一部を掲載する。

関連キーワード

ロボット開発 | Pepper | ソフトバンク | V-Sido


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る