VRヘッドセットは2020年に6000万台市場へ、それでも「ARの方が重要性増す」:VRニュース(2/2 ページ)
IDCジャパンは、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)ヘッドセットの市場予測を発表。世界全体の市場規模(出荷台数)は、2016年がVRヘッドセットを中心に急伸し年間1000万台に達する勢い。2020年にはARヘッドセットの成長も始まり、合計で年間7500万台を超えるとしている。
現時点で市場規模の小さいARはVRよりも重要に
既に1000万台の大台を突破しつつあるVRヘッドセットに対して、ARヘッドセットの世界市場規模は極めて小さい。2016年第1四半期までは、各4半期で2万台以下、年間でも10万台に届かないペースだった。その後、2016年第2四半期、同年第3四半期はそれぞれ4万台前後に増えているものの、VRヘッドセットよりはるかに規模は小さい。
2016年第2四半期からの市場の伸びを支えたのは、ガーミン(Garmin)のサイクリスト向けグラスウェア「Varia Vision」と、開発者向けに限定して出荷したマイクロソフトのHoloLensである。2016年第3四半期のガーミンのシェアは22%、マイクロソフトは19.7%だった。ただし、Varia Visionの市場推定価格が408米ドルであるのに対し、開発者向けキットは3000米ドルと高価だ。第3位に入ったのはエプソンでシェアは17%。同社の主力製品「Moverio BT-200」の市場推定価格は817米ドルだという。
このように現時点で市場規模が小さいARヘッドセットだが、リース氏は「VRより急激にその重要性を増す」と想定している。それはARが新たなHMIの一形態となる可能性が高いからだ。同氏は「ARは物理的な質量のある対象や、デジタル情報および他の人々との関わり方を根本的に変える」と強調する。
ただし今後数年間、AR技術の進化はモバイルとビジネスユースに焦点が当てられる。実際に、現在のARヘッドセットの主な用途は、医療、製造、現場でのオペレーションといったビジネスユースが中心だ。これに対してVRヘッドセットは、ゲームや映画、スポーツ中継などのコンテンツの視聴、体験という消費者向けの用途が中心になっている。「ARヘッドセットの市場が立ち上がるには、製造上の難易度や高い生産コストが大きな妨げになっている。このため今後数年間はスマートフォンでARを体験することになるだろう」(リース氏)。
「完成度の低い製品は投入すべきではない」
これらVR/ARに関わるエコシステムは、多くの企業が参画しているものの、市場が立ち上がったばかりということもあって明確な勝者は見えていない。また標準化についても確立されたとは言い難い状態にある。
リース氏は「VR/ARヘッドセットが成功を収めるためにはソフトウェアやサービスの重要性が高い。関連企業は今のうちからパートナーシップを結んでおくべきだ。また、拙速に完成度の低い製品を投入したり、低価格競争に突き進んだりすると、期待値以下のユーザー体験によってユーザーにそっぽを向かれ兼ねない。しっかりと製品開発することが重要だ」と述べている。
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