VRヘッドセットは2020年に6000万台市場へ、それでも「ARの方が重要性増す」:VRニュース(1/2 ページ)
IDCジャパンは、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)ヘッドセットの市場予測を発表。世界全体の市場規模(出荷台数)は、2016年がVRヘッドセットを中心に急伸し年間1000万台に達する勢い。2020年にはARヘッドセットの成長も始まり、合計で年間7500万台を超えるとしている。
IDCジャパンは2016年12月15日、東京都内で会見を開き、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)ヘッドセットの市場予測について説明した。世界全体の市場規模(出荷台数)は、2016年がVRヘッドセットを中心に急伸し年間1000万台に達する勢い。2020年にはARヘッドセットの成長も始まり、合計で年間7500万台を超えるとしている。
IDCは、VRとARについて以下のように定義している。
- VR:ユーザーが現実に見ているものが取り除かれ、デジタルコンテンツによって構築されるバーチャル環境に完全に没入するもの
- AR:デジタルコンテンツあるいはデジタルオブジェクトが、ユーザーが現実に見ているものに付加されるもの
今回の市場予測では、VR/ARヘッドセットのうち、スマートフォンをVRヘッドセット化するシステムを「スクリーンレスビュワー」、PCなどとケーブル接続して使用するものをケーブル型(Tethered)、機器単体で利用するものをスタンドアロン型(Standalone)と定義している。また、今回の市場調査では、スマートフォンやタブレット端末のみを使用するヘッドセットを使わないARは対象としていない。
米国本社IDCのプログラムバイスプレジデントを務めるライアン・リース(Ryan Reith)氏は「2016年はVR/ARに関するさまざまな動きがあった。VRヘッドセットについては製品投入が続き、一気に市場が拡大する要因となった」と語る。
VRではまず、サムスン(Samsung Electronics)がスクリーンレスビュワーの「Gear VR」を投入した。このGear VRの開発でサムスンと提携していたオキュラス(Oculus)は、2016年中ごろにケーブル型の「Oculus Rift」を発売、その後HTCもケーブル型の「HTC Vive」を発売している。そして2016年10月、ソニーからこれもケーブル型の「PlayStation VR」の販売を開始した。
インテル(Intel)の「Alloy VR」、クアルコム(Qualcomm)の「VR820」といったVRヘッドセットのレファレンスデザインの投入も計画されている。グーグル(Google)も、スクリーンレスビュワーのプラットフォーム「Daydream VR」を発表する計画だ。製品の市場投入や発表が続いていることもあって、VRへの期待感も高まっている。
一方、ARは、ゲームアプリ「Pokemon GO」によって一般層への認知が進んだものの、ハードウェアとしてのARヘッドセットの市場成長には時間がかかるとみられる。ただし、ケーブル型のARヘッドセット「HoloLens」を展開するマイクロソフト(Microsoft)が開発者向けキットを3000米ドルで出荷したり、949米ドルとより安価なARヘッドセットの開発者向けキット「Meta 2」の投入が予告されたりなど、開発環境の充実は着実に進んでいる。また、グーグルが開発していたARのフレームワーク「Tango」を用いたスマートフォンがレノボ(Lenovo)から発売された。「想定以上に早い市場投入で、Tangoは今後普及が進むだろう」(リース氏)という。
また、アップル(Apple)が「iPhone 7 Plus」でステレオカメラを採用したことは、今後のAR対応に向けた体制整備の一環になっているとした。
このように製品投入が続いたこともあって、VRヘッドセットの市場は2016年から一気に拡大するとみられる。一方のARヘッドセットは、2019〜2020年に市場成長が本格化する見込みだ。
VRヘッドセットは2016年に1000万台を突破
リース氏は、足元の2016年第3四半期(7〜9月期)におけるVRヘッドセット市場動向も報告した。同四半期の市場規模は約300万台。うち77%は、Gear VRに代表されるスクリーンレスビュワーが占めた。スクリーンレスビュワーについては、Gear VRの他、アルカテル(Alcatel)の「Idos 4S」も好評だという。ケーブル型は22%を占めたが、そのうちOculus Riftは13%、HTC Viveが7%だった。
VRヘッドセット単体の世界市場規模予測では、2016年の1000万台から2017年に2000万台超、2018年に3500万台超、2019年に5000万台弱となり、2020年には6000万台に達するとした。
リース氏は「グーグルのDaydream VRによって、2017〜2018年にかけてスクリーンレスビュワーは安定的に成長するだろう。またクアルコムのVR820によって、スタンドアロン型の成長も期待できる。PCなどと接続するケーブル型は、VR体験の質は高いものの、PCを含めると高コストになることが成長を制限している」と説明する。
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