設計や製造でVRを使いこなせ、オートデスクが4種の体験型デモでアピール:Autodesk University 2016
Autodesk(オートデスク)は、ユーザーイベント「Autodesk University 2016」の展示会場で、製品設計や製造プロセスといったエンジニアリングにVR(仮想現実)を生かすための体験型デモンストレーションを実施した。
Autodesk(オートデスク)は、ユーザーイベント「Autodesk University 2016」(2016年11月15〜17日、米国ネバダ州ラスベガス)の展示会場で、製品設計や製造プロセスといったエンジニアリングにVR(仮想現実)を生かすための体験型デモンストレーションを実施した。
同社が展開したVRの体験型デモは4種類ある。1つ目は工場の製造ライン設計のシミュレーターである。VRを使って製造ラインを設計するとともに、製造ラインのリアルタイムな管理もVRで行う未来の工場をイメージしたデモで、ロボットによるセル生産ラインを内側や外側、上側から確認できる。
2つ目はVR空間におけるモデリングのデモだ。これは将来的な設計者の姿として、VR空間の中で設計対象の実サイズなどを感じながら設計を行うようになることをオートデスクが想定しているからだ。デモでは、ゲームなどエンターテインメント向けのレンダリングエンジン「Stingray」で作り出したVR空間のデザインスタジオの中で、「ジェネレーティブデザイン」の応用で設計された自動車「Hack Rod」のシャシーに、ソリッドモデリングによるエクステリアデザインを施していくという内容になっている。
3つ目はVR空間における体験学習のデモである。VR空間でのインタラクティブな体験学習は、製造業などでも既に実用的な利用が想定されている。このVRのデモは全てStingrayで作成されている。インタラクティブなVR体験を、専門家しか扱えないプログラミングではなく、Stingrayのようなオーサリングツールで作り出せることを訴えることが展示の最大の狙いになっている。
4つ目は、VR空間で複数人が同時参加できる自動車のデザインレビューのデモである。自動車向けのデザイン支援ツールである「VRED」を使って、モデリング中の3DデータをVR空間内に表示できる。このVR空間でのデザインレビューは、ネットワーク経由で遠隔地からも参加できる。デモのシステムは同時に3人まで参加可能だったが、ハードウェアの処理能力を高めればより多くの人数を参加させられるとしている。
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