世界を変える機械学習、1兆個のIoTデバイスを誰がプログラムするのか:MONOist IoT Forum 東京(後編)(2/2 ページ)
MONOistを含むITmediaの産業向け5メディアは、セミナー「MONOist IoT Forum IoTがもたらす製造業の革新 〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜」を開催。同セミナーのレポートを前後編でお送りする。
人工知能やIoTで製造業の現場はどう変わるのか
「MONOist IoT Forum 東京」ではここまで紹介してきた基調講演および特別講演に加え、7本のセッションも実施した。その様子をダイジェストで紹介する。
モノづくりの未来を訴えたオートデスク
オートデスクは「The Future of Making Things〜ものづくりの未来〜」をテーマに、3Dプリントや人工知能などの技術によるモノづくり現場の変化について訴えた。オートデスク 技術営業本部 製造アカウント エンジニアマネージャーの加藤久喜氏は「クラウドコンピューティングやビッグデータなどに加え、IoTにより製品を提供した後でもデータを取得できることから販売後に設計にフィードバックできる仕組みなども必要になる。こうした新しい取り組みに対し、現状のモノづくりプラットフォームでは十分だとはいえない」と述べる。
こうした動きに対し、オートデスクでは新たなプラットフォームとして「プロダクトイノベーションプラットフォーム」を提案。設計をクラウド上のコンピュータリソースにより最適化し設計者が設定した仕様や要件に合った形状を自動的に設計する「ジェネレーティブデザイン」や3Dプリンティングの価値などについて訴求した。また、現実とバーチャル空間を組み合わせる技術としてリアリティーキャプチャー技術などを紹介。米国サンフランシスコの街全体を3D化するプロジェクトの事例などを示した。
製造のデジタル変革を訴えたダッソー
ダッソー・システムズは「製造のデジタル変革と最新の取り組み」をテーマに、製造現場がIoTでどのように変化するかを紹介した。ダッソー・システムズ DELMIA事業部 ディレクター 藤井宏樹氏は「経験経済の時代が到来する中、デジタル技術におけるイノベーションが必要になってきている。ユーザーに“経験”を提供できるような統合的なプラットフォームが必要となる」と述べ、同社が展開する「3D EXPERIENCE Platform」の価値について訴求した。さらに製造現場においては、製造オペレーション管理である「MOM」の価値が高まるとし「グローバル製造オペレーション全体での連続性が重要になってくる」(藤井氏)と述べている。
IoTとVRで新たなモノづくりを訴求したPTC
PTCは「IoT、AR/VR、アナリティクスの複合利用で大胆な業務改革を実現」をテーマとし、IoTによるフィジカルとデジタルの融合によって生まれる価値について説明した。同社は2014年にThingWorxを買収しIoT事業に参入し、リアルの世界とバーチャルの世界の融合を提案。さらに、2015年にはAR(拡張現実)技術を持つVuforiaを買収し、ARも組み合わせた新たなモノづくりの形を示す。PTCジャパン 専務執行役員 成田裕次氏は「フィジカルとデジタルの融合により、現実の世界と同じ情報を設計に完全にフィードバックする『デジタルツイン』のような世界が実現可能となる」と述べている。
スマート工場によるビジネス変革を訴求したISID
電通国際情報サービス(ISID)は「IoTでスマート接続された工場がもたらすビジネス変革」をテーマにスマート工場実現の方法について紹介した。電通国際情報サービス エンジニアリングソリューション事業部 事業部長補佐兼戦略技術ユニット長の川口宏氏は「スマートファクトリーを実現するには最終的に何がやりたいのか、という点がなければ難しい」と述べる。さらに「日本の製造業は工場のレベルは高いがさらに付加価値を生み出すには、製品開発軸との連携が重要。PLMとMESをつなぐような取り組みが重要になる」とポイントについて紹介した。
IoTアナリティクスライフサイクルについて訴求したSAS
SAS Institute Japanは「IoT×コグニティブ技術で品質管理・アフターサービスを強化する勘所」と題し、製造業におけるコグニティブコンピューティングの価値について紹介した。同社はビジネスアナリティクスの主要ベンダーだが、IoT活用のポイントについて「現実情報を活用しながらSense(データ取得)、Understand(分析と理解)、Act(施策の実行)のサイクルをいかにうまく回すかが重要である」とSAS Institute Japan ソリューションコンサルティング本部 IoTソリューショングループ マネージャーの松園和久氏は価値について述べている。
IoT時代にOSSの価値を訴求するレッドハット
レッドハットは「IoT時代に必要されるオープンソースの勘所」をテーマに、IoTの活用が広がる中で必須となるオープンソースソフトウェア(OSS)の価値について紹介した。IoTは大きな可能性を持つが、他社も参入が広がっており、差別化やスピード、投資対効果などが求められる。こうした状況において「共通部分についてはOSSを有効活用し差別化できるポイントに集中することが重要である」とレッドハット エンタープライズソリューションアーキテクト部 ソリューションアーキテクト 橋本賢弥氏は製品開発のポイントを述べている。
エンジニアリングデータとビジネスデータの融合を訴求するMathWorks
MathWorks Japanは「製造業のIoT活用を加速する開発環境とは」をテーマに同社のモデルベース開発環境「MATLAB」および「Simulink」の意義を訴えた。MathWorks Japan インダストリーマーケティング部 IA&Mインダストリーマーケティングマネージャー 遠山巧氏は「IoTおよびビッグデータ分析の時代となる中、ビジネスシステムのデータをエンジニアリングシステムのデータをそれぞれ複合的に分析することが求められる。こうした中でそれぞれのワークフローを統合できるような開発環境が必要だ」と述べている。
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