“実務に寄り添う”人工知能、富士通がクラウドサービスとして提供:人工知能ニュース(2/2 ページ)
富士通は、人工知能(AI)関連技術を組み合わせてパッケージ化しクラウドサービスとして提供することを発表した。富士通でAI関連技術のみを切り出してサービスとして提供するのは初めて。
ディープラーニングや、導入から運用まで
富士通では「Zinraiプラットフォームサービス」の他、世界最速クラスの処理性能を実現したディープラーニング基盤サービス「Zinraiディープラーニング」、コンサルティングから導入、運用までをトータルに支援する「Zinrai活用コンサルティングサービス」「Zinrai導入サービス」「Zinrai運用サービス」の4種類のサービスを展開予定。2017年4月までに順次展開を進めていく。
さらに、ディープラーニングについては専用プロセッサ「DLU」なども開発。IBMなどが取り組むような新構造のアーキテクチャではないが、ディープラーニング専用の独自アーキテクチャを開発し、徹底した省電力設計を実現。さらにスーパーコンピュータ「京」などの開発技術を投入し、AI機能を支援していく。DLUについてはまずは富士通内での活用を進めるとしているが、PCカードとして外部にも提供する計画だとしている。
2020年度までにグローバルで累計3200億円を目指す
富士通では、AIサービスの2020年度までの累計売上高で3200億円を目指すとしている。内訳としては「AIサービスやプラットフォームで4割くらいになる見込み。残りの6割はAIのシステムインテグレーションや新サービスが担うと見ている」(菊田氏)としている。対象企業としては「さまざまな業種の顧客企業が存在するが、モノづくり、物流、流通、自動車、金融などが主要ターゲットとなるだろう」(菊田氏)としている。
AIなどの技術について日本のIT企業などは立ち遅れているともみられているが、こうした見方について阪井氏は「確かに先行する欧米企業に比べて出遅れたという認識はある。しかし、今回本格的にZiraiを活用した商用ベースのサービスが開始できる。従来の汎用AIに比べて、実務に踏み込んだきめ細かいAPIサービスを提供できるようになり、新たな優位性を生み出すことができたと感じている。さらにディープラーニングのIaaSについては競合企業は用意できていないところもあるので、市場に追い付いたといえるのではないか」と考えを述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 富士通が量子コンピュータ超える新AI技術、グラフ構造データへの深層学習適用も
富士通研究所が人工知能(AI)技術の最新成果を発表。「量子コンピュータを実用性で超える新アーキテクチャを開発」と「人やモノのつながりを表すグラフデータから新たな知見を導く新技術『Deep Tensor』を開発」の2件である。 - 人工知能は製造現場でどう役に立つのか
人間の知的活動を代替するといわれる人工知能が大きな注目を集めている。ただ、製造現場で「使える」人工知能は、一般的に言われているような大規模演算が必要なものではない。「使える人工知能」に向けていち早く実現へと踏み出しているファナックとPFNの取り組みを紹介する。 - 日立の人工知能技術「H」が“汎用AI”だからできること
日立製作所は、ユーザーイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO」において、同社の人工知能(AI)技術「Hitachi AI Technology/H(以下、H)」を紹介するデモ展示を行った。 - NECの人工知能は5つの質問だけで「うまい棒」の好みを当てる
NECは、ユーザーイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016」において、「AI活用味覚予測サービス」のデモンストレーションを披露した。人工知能(AI)が出題する5つの質問項目に対する参加者の回答を基に、15種類の「うまい棒」からその参加者の好みの味を予測する。 - 製造業で人工知能はどう使うべきなのか
日本IBMとソフトバンクは、自然対話型人工知能「ワトソン(Watson)」の日本語版の提供を開始する。自然言語分類や対話、検索およびランク付け、文書変換など6つのアプリケーションをサービスとして展開する。 - 「君これやっといてね」日立が業務指示を行う人工知能開発
日立製作所は、業務システムに蓄積したビッグデータから、業務変動や現場業務の活動を理解し、適切な業務支持を行う人工知能を開発した。この技術を活用し自社内の実証では物流業務で8%の効率改善を実現したという。