“実務に寄り添う”人工知能、富士通がクラウドサービスとして提供:人工知能ニュース(1/2 ページ)
富士通は、人工知能(AI)関連技術を組み合わせてパッケージ化しクラウドサービスとして提供することを発表した。富士通でAI関連技術のみを切り出してサービスとして提供するのは初めて。
富士通は2016年11月29日、人工知能(AI)関連技術を組み合わせてパッケージ化しクラウドサービスとして提供することを発表した。同年12月からそれぞれのユーザー企業の運用に合わせた5種類のサービスを順次提供し、2020年度末までに累積で3200億円の売上高を目指す。
APIを30種類用意し実用性を優先
富士通では2015年11月にAIに関する知見や技術を「Human Centric AI Zinrai(以下、Zinrai)」として体系化。その後、300件以上の問い合わせが集まる中で、提供するソリューションなどにZinraiを組み合わせて提供を進めてきた。今回は実証で得た知見を生かしつつ、特にニーズの高いAI関連機能をパッケージ化したクラウドサービスの提供を開始する。
富士通 執行役員常務でグローバルマーケティング部門長の阪井洋之氏は「300件以上の問い合わせが来た中で34%が音声対話や画像認識などのUX(ユーザーエクスペリエンス)分野、25%が専門家の作業支援のようなナレッジ活用分野、19%が故障の予兆検知などの異常監視分野となっている。こうした中でさまざまな実証を進めてきた。今回のAIサービスの展開に当たっても、競合企業が展開するような汎用AIではなく、より業務に近いところで役立つAIである点が特徴だ」と述べている。
新たにサービス展開を開始する「Zinraiプラットフォームサービス」は、実証実験から抽出された、実用性の高いAI機能をAPIとして提供し、実用的にAI活用を行えるクラウドサービスである。AIの要素技術ごとに「知覚、認識」「知識化」「判断、支援」の3分野に分類された基本API(アプリケーションプログラムインタフェース)21種と、業務に基づいた機能やナレッジで構成した目的別API9種の合計30種を提供。必要なAPIを選んで利用することで、AIシステムの活用を迅速に実現できる。
富士通 執行役員でデジタルサービス部門AIサービス事業部の菊田志向氏は「基本APIと業務に合わせた目的別APIを合計で30種類提供し、業務でより効果的に生かせるAI活用を実現する。目的別APIについては積極的に数を拡大させていく。さらにクラウドサービスを基本としているがオンプレミスでの展開も可能としユーザーの選択肢を広げる」と述べている。
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