PTCがIoT基盤のポートフォリオ拡大、産業制御領域の異種環境の差を吸収:製造業IoT
PTCジャパンは、産業オートメーションデータの活用を実現するソフトウェアの新製品「KEPServerEX Version6」を発表した。同社では、取り組みを強化しているIoT基盤「ThingWorx」に同モジュールを組み込み、スマート工場向けのソリューションとしての展開する方針だ。
PTCジャパンは2016年11月22日、産業オートメーションデータの活用を実現する「KEPServerEX Version6」を発表した。同社では、取り組みを強化しているIoT基盤「ThingWorx」のポートフォリオを拡張し、ThingWorxにKEPServerEXをオプションモジュールとして組み込み、スマート工場向けのソリューションとして展開する方針だ。
産業用オートメーションデータを取得するため
「KEPServerEX」はもともと米国のKepware Technologiesが展開していた製品である。2015年12月に米国PTCがKepware Technologiesを買収。PTCの1事業部門として展開することになったため、日本国内ではPTCジャパンが扱うようになった。
KEPServerEXは、工場データの管理などに使うOPCサーバでより容易に情報を取得しやすくした製品である。通常の工場の中などでは、さまざまな機械がデータを生み出しており、機器にひもづいた独自プロトコルなども乱立している。さらに各機器が一対一での接続などを行っており、情報を一元的に管理するのが非常に難しい環境だといえる。KEPServerEXはこうした環境を解消するために開発され、豊富なドライバー群を備えることで工場内の情報を一元的に吸い上げることを実現する他、吸い上げた後のアプリケーションとの連携も容易に実現できるという点が特徴である。
PTCジャパン 執行役員専務 成田裕次氏は「Kepware Technologiesは1995年に創業しKEPServerシリーズを展開してきた。工場内の通信の簡略化を目指した企業で既に国内外で数多くの導入実績を持つ点が特徴である」と述べている。
KEPServerEXの特徴としては、6つのポイントがあるという。1つ目が「接続性」である。KEPServerEXは、150以上にも及ぶドライバーを保有しており、さまざまなプロトコルやデータシステムなどが乱立している現場の各機器と接続し、現場情報を取得することが可能である。2つ目が「データ集約」である。数千種類のデータソースとの接続をサポートし、数百種類へのアプリケーションにデータを提供できる。3つ目が「最適化」である。データの調整と削減をKEPServerEX上で行うことでデータの調整と削減などが可能となる。
4つ目が「アクセシビリティ」である。MESやSCADAなどのクライアントアプリケーションやビッグデータ分析ソフトなどへのアクセスを可能としている。5つ目が「セキュリティ」である。ユーザーアクセス制御や接続制限などのセキュリティ機能を保有している。6つ目が「診断」である。デバイスとアプリケーションとの通信を分離してトラブルシューティングを行う。
成田氏は「OPCサーバなどで異種環境を吸収するようなIoT基盤は既に数多く存在しているが、差別化のポイントになるのがアプリケーション対応の豊富さだといえる。データ活用まで短期で実現できるところが強みだ」と語っている。
UIが改善し日本語に対応
このKEPServerEXの新バージョンである「Version6」であるが、新機能としてユーザーインタフェースが改善された他、日本語に対応した。またネイティブでOPC-UAなどに対応している。同社では「ドライバーの選択」「デバイスを追加しIDを付与」「タグの追加」の3ステップで簡単に接続できるとしている。
PTCではこのKEPServerEXの機能を、同社が展開するIoT基盤「ThingWorx」のオプションモジュール「Kepware Manufacutring Suite」として展開する方針。既に2016年11月半ばにリリースも開始したという。PTCジャパンでは、「KEPServerEX」シリーズの販売については従来通り既存の代理店の関東エルエンジニアリングに任せ、この「Kepware Manufacutring Suite」によりスマート工場のIoT化を提案の柱に据えていく方針を示している。
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