パワトレのプラントモデルをテンプレに、いじりながらシミュレーションしやすく:設計開発ツール
MathWorksは、自動車のパワートレインのプラントモデル構築と制御設計やシステム設計を支援する「Powertrain Blockset」を発表した。プラントモデルのひな型が用意されており、ユーザーは自由にカスタマイズしながら制御をシミュレーションし、燃費改善や排ガス低減に必要な制御を検討することができる。
MathWorks(マスワークス)は2016年11月17日、自動車のパワートレインのプラントモデル構築と制御設計やシステム設計を支援する「Powertrain Blockset(パワートレイン ブロックセット)」を発表した。
ガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車、ハイブリッド車、電気自動車といったパワートレインなどのプラントモデルのひな型が用意されており、ユーザーは自由にカスタマイズしながら制御をシミュレーションし、燃費改善や排ガス低減に必要な制御を検討することができる。
車両やエンジンのプラントモデル、テンプレ化して使いやすく
世界各国が独自の基準で環境規制を強化し、自動車メーカーはそれに対応して複数のパワートレインを製品ラインアップにそろえなければならない。パワートレインごとに、さまざまな制御アルゴリズムの評価/検討や、車両の設計パラメーター、制御パラメーターの最適化が必要になる。
そうした中、車両制御のモデルベース開発は、制御モデルの開発に重点が置かれ、ユーザーが自前でプラントモデルを構築するのが現実的でなくなっているという。また、プラントモデルの構築や維持にコストをかけにくくなっている実態もあるとしている。
制御モデルのテストに適したプラントモデルがない場合、実機テストが主体になりシミュレーションを活用できず、開発期間の長期化やコスト増加につながる。マスワークスは、こうした状況や、これまでにもユーザーからプラントモデル構築の要望があったことを踏まえて、パワートレインのプラントモデルのひな型をそろえたPowertrain Blocksetの提供を始めた。
Powertrain Blocksetに用意されているプラントモデルのひな型は、詳細な説明をまとめたドキュメントが同梱されているため、ユーザーが自由にカスタマイズできる。
プラントモデルのライブラリには、車両全体のモデルやガソリンエンジン/ディーゼルエンジンの単体モデルの他、駆動系の各部品のモデルもそろえられている。シリンダーや吸排気系、過給機、駆動用モーターやバッテリー、トランスミッション、ブレーキ、それぞれのECUなどのモデルから必要なものを選択して組み合わせ、1台のモデルを構築することもできる。SimulinkやSimscapeのモデルに置き換えることも可能だ。
Powertrain Blocksetでは空気抵抗や転がり抵抗、坂道の抵抗などを設定し、各国の燃費/排ガス測定試験や国際基準「WLTP(World Harmonized Light Duty Test Procedure)」に沿った走行サイクルで走らせることができる。実時間を上回る実行速度でシミュレーションする。
モデルベース開発をより活用するために
Powertrain Blocksetは、複数のパワートレインの選択肢の中から最適な設定を検討できる他、制御モデルの動作をシミュレーションで検証できるようにする。また、実機による検証の前に、エンジンのプラントモデルを活用して制御パラメータをシミュレーションで比較することも可能。さらに、制御モデルから生成したコードの動作をシミュレーションで検証したり、生成したコードをECUに実装し、実際のECUの挙動を確認したりするなど、モデルベース開発の利点を得られる環境を整える狙いがある。
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