自動運転に必要なセンサーデータや地図情報を一元管理、応答時間は100分の1に:車載ソフトウェア
日立オートモティブシステムズと日立ソリューションズは、自動運転ECUプラットフォームを開発した。センサーや地図情報などのデータを一元管理するリアルタイムデータベースを設けることにより、従来のようなアプリケーションごとに組み込むデータ処理/管理プログラムが不要になる。
日立オートモティブシステムズと日立ソリューションズは2016年10月17日、自動運転車向けのアプリケーション開発を効率化する自動運転ECUプラットフォームを開発したと発表した。これまで各種アプリケーションがバラバラに処理/管理していたセンサーのデータや地図情報などを一元化することで、データの登録や検索に要する時間を同社比で100分の1に短縮する。また、ECU内の複数のアプリケーションが相互に干渉し合うことを防ぐFFI(Freedom From Interference)機能も搭載した。
日立オートモティブシステムズは2016年末から評価を実施し、2017年7月から開発したプラットフォームに基づく自動運転ECUとソフトウェア開発キット(SDK: Software Development Kit)を提供する。
センサーや地図情報などのデータを一元管理
これまで、ECUはアプリケーションごとに個別でセンサーや地図データなどさまざまな情報を処理/管理する構成が主流だった。しかし、自動運転システムはセンサーの搭載数が増加し、アプリケーションの機能の複雑化/大規模化も進む上で、リアルタイムな処理も求められる。また、アプリケーション同士の干渉や誤作動への対応も要求される。
日立オートモティブシステムズと日立ソリューションズが開発したプラットフォームは、「リアルタイムデータベース」がセンサーや地図データを一元管理する。これにより、従来はアプリケーションごとに組み込んでいたデータ処理/管理のプログラムを組み込む必要がなくなり、アプリケーションの開発効率を高めることができる。
また、従来のデータの登録や検索にかかる時間では自動運転車の制御に求められる高速な応答が困難だったが、リアルタイムデータベースではデータの種別に応じて整理することで、登録/検索に要する時間を同社比100分の1となる10マイクロ秒に短縮した。
開発した自動運転ECUには、自動運転システムの開発で広く利用されているROS(Robot Operating System)と連携して動作する機能を搭載した。SDKは、ROSを通じてリアルタイムデータベースに格納されている情報をリアルタイムで汎用PC上に可視化できる。さらに、汎用PC上でアプリケーションの開発や動作検証、ECUへのアプリケーションの移植が行える。
アプリケーション同士の干渉による停止や誤作動を防ぐため、FFI機能を搭載。各アプリケーションの実行時間をスケジューリング、監視し、独立した実行を保証する。これにより、安定して安全にアプリケーションが稼働する環境を実現する。
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