セキュアブート機能搭載の組み込み用パッケージを3社共同で開発:組み込み開発ニュース
大日本印刷、アットマークテクノ、NXPセミコンダクターズジャパンは、IoTデバイスの開発向け「組み込み用パッケージ」を来春販売する。CPU、セキュアチップ、回路図などをワンパッケージ化し、セキュアブート機能を組み込んだ状態で提供する。
大日本印刷(DNP)、アットマークテクノ、NXPセミコンダクターズジャパン(NXP)は2016年10月26日、IoT(モノのインターネット)デバイスの開発向け「組み込み用パッケージ」を来春販売すると発表した。CPU、セキュアチップ、ソフトウェア、回路図などをワンパッケージ化し、セキュアブート機能を組み込んだ状態で提供する。2020年度に10億円の売り上げを目指す。
同パッケージは、DNPが開発したセキュアチップ「SAM:Secure Application Module(セキュアICチップに、データ暗号化、認証、機密情報保護などのアプリケーションを搭載したモジュール)」と、アットマークテクノのIoTデバイス用ソフトウェア、SAMやCPUをデバイス実装するための回路図、各種設定ツール、NXP製のARMコアCPUなどで構成されている。
特長としては、改ざんやデッドコピー(不正模造品)の防止機能を持つ。IoTデバイス起動時にSAMとCPU内のデータを用いてブートローダとOSのデジタル署名を検証し改ざんを防止。セキュアブート機能に必要となるユニークデータをSAMに格納し、SAMの内部構造などの解析を難易化することにより重要データの不正コピーを防止する。
また、IoTデバイスにセキュアブート機能を実装する際の負荷を軽減する。IoTデバイスメーカーは、セキュアブート機能を回路図に沿って設計し、動作検証済みのIoTデバイス用ソフトウェアを組み込むだけで、セキュアなIoTデバイスを容易に開発できる。
CPUは、電力効率の良いARM Cortex-A7コアを搭載したNXPの「i.MX 7Dualプロセッサ」を採用。SAMに格納する暗号鍵の遠隔更新サービスなども提供予定だ。DNP提供のIoTプラットフォームにより、暗号鍵やデジタル証明書などを遠隔更新してIoT環境をより安全にする。
近年、IoTを活用したサービスや技術の高度化、ビジネスモデルの変革が進んでいる。IoTデバイスにおいては不正な改ざんやコピーなどの増加が懸念されており、企画・設計の段階から対策が講じられるよう、高セキュリティなソフトウェアやハードウェアを適切かつ容易に実装できるサービスが求められていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- IoTが製造業のサービス化を呼ぶ?
モノ売りからコト売りへ――。IoT(モノのインターネット)の進展により、一昔前に製造業の周辺で言われてきたサービスビジネス拡大の動きが本格的に広がりを見せ始めています。しかし、「モノ」を主軸としていた製造業が「コト(サービス)」を中心としたビジネスモデルに切り替えるのは容易なことではありません。そこで本稿ではサービスビジネスの基本的な話を分かりやすく解説していきます。 - 製造業に襲い掛かる第3次IT革命の波
経済学者マイケル・ポーター氏と米国PTCの社長兼CEOであるジェームズ・ヘプルマン氏の共著でるIoTに関する論文「IoT時代の競争戦略」が公開された。PTCジャパンでは、同論文の内容を解説する説明会を開催した。 - 製造業向けIoT活用入門
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)に注目が集まる一方で、製造業がIoTを活用するための道筋は見えづらい状態にある。本稿では、幾つかの代表的なIoTの活用シーンを紹介するとともに、自動車向けテレマティクス(カーテレマティクス)を具体的な事例として、製造業がIoTから得られるメリットについて解説する。 - 「M2M」「IoT」「クラウド」――“つながる技術”が切り開く組み込みの未来
2013年11月20〜22日の3日間、パシフィコ横浜において恒例の組み込み関連イベント「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」が開催された。本稿では、多数のブースの中から“これからの組み込み技術”という視点でピックアップした展示デモの内容を紹介する。 - IoTのビジネスチャンスをどう見つけるか?
IoT(モノのインターネット)の進展により製造業においてもサービスビジネス拡大が期待されています。本連載ではサービスビジネスの基本的な話を分かりやすく解説しています。4回目となる今回はサービスビジネスにおけるマーケティング戦略について解説してきます。