NECの「エッジゲートウェイ」はなぜ外部調達ではダメなのか:エッジコンピューティング
NECのユーザーイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016」では、新たに発表したばかりのIoTデータ収集基盤「エッジゲートウェイ」を公開。その価値をアピールした。
NECはユーザーイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016」(2016年11月1〜2日)において、2016年10月31日に発表したIoTデータ収集基盤「エッジゲートウェイ」を公開した。工場に求められるエッジコンピューティングの機能をまとめており、現場での簡易な情報処理機能を持つことが特徴である。
IoTのための情報収集基盤
「エッジゲートウェイ」は、通信ネットワークに接続できない機器や各種センサーなどをネットワーク接続できるようにするゲートウェイである。多種多様なインタフェースを装備しているため、デバイスのデータ収集が可能で、クラウドと連携することにより、新たなIoTサービスの創出などに活用できる。生産現場や倉庫などの各機器に接続して、接続機能を付加するゲートウェイ機能だけでなく「エッジコンピューティング」の機能を一部請け負うことが特徴となっている。
「エッジコンピューティング」とは「現場の頭脳」のような役割を果たすものだ。IoTを考える時、現場の情報を全てネットワーク網を通じてクラウド環境に上げるということを考えがちだが、通信網のひっ迫が生まれる他、クラウド環境で処理した情報を現実世界にフィードバックする場合、大きな遅延が発生する課題が生まれる。そこで現場の情報を一時的に現場に近い領域で選別し、必要な情報だけをクラウド環境に上げ、その場ですぐに処理が必要なものについてはその場で処理するという役割が必要になる。それを担うのがエッジコンピューティングである。
「エッジゲートウェイ」は、このエッジコンピューティングの一部の役割を担い、機器やセンサーから取得したデータの処理の一部を担い、通信負荷を分散させデータ処理の高速化やデバイスのリアルタイムな制御を可能としているというものだ。
端末としては、有線インタフェース(RS-232C、RS-485、USBなど)や無線インタフェース(920MHz無線、Wi-Fi、Bluetooth、LTEなど)に接続可能とする他、不正なUSB機器接続やマルウェアによる意図しないネットワークアクセスを防止するホワイトリスト型のセキュリティ機能を備えている。エッジゲートウェイを活用することで、従来通信機能がなかった工場の機器群から得られるデータを吸い上げ、稼働監視や遠隔監視などが実現可能となる。
人工知能機能をエッジコンピューティング領域に
NECではエッジゲートウェイを2017年3月に出荷する予定。端末のOSはLinuxベースだとしているが「出荷時にはハードウェアだけでなくサービスを想定したアプリケーションを開発。ソリューションなどを想定したテンプレートと組み合わせて展開する予定」(NEC説明員)としている。端末価格については未定だが「産業用PCよりは安い価格帯としていきたい」(説明員)としている。
IoT関連のゲートウェイには現在多くの企業が参入しており、あえてハードウェアを開発しなくてもよいように見えるが、NECでは「『NEC the WISE IoT Platform』をうたっているように、早いうちに人工知能機能もエッジコンピューティング領域に組み込んでいくことを考えている。ハードウェアとしてはゲートウェイが1つの重要なポイントになる。そのためにはエッジにおけるゲートウェイ端末も自社で保有し開発していく必要がある」(説明員)と将来の展望について述べている。
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