生産性と加工位置精度をより高めた、基板穴あけ用レーザー加工機:FAニュース
三菱電機は、新しい基板穴あけ用レーザー加工機「GTW5」シリーズを発売した。同社独自の「Synchrom(シンクローム)テクノロジー」と、新しいガルバノスキャナーにより、従来機よりも生産性と加工位置精度を高めたものになっている。
三菱電機は2016年10月19日、新しい基板穴あけ用レーザー加工機「GTW5」シリーズを発売した。従来機よりも生産性と加工位置精度を高めたものとなっている。加工ワーク寸法の異なる2機種(「ML605GTW5-5350U」と「ML706GTW5-5350U」)があり、月産50台の予定だ。
同シリーズでは、同社独自の「Synchrom(シンクローム)テクノロジー」によって、加工テーブルの移動とレーザー加工が同時にできるため、非加工時間が従来の「GTW4」シリーズと比較して約50%短縮した。
また、レーザー光を位置決めするガルバノスキャナーを新しくして、位置決め速度を向上した。これにより、マザーボード基板(CPUやメモリなどを搭載する電子回路基板)の加工時間を従来比で約20%短縮した。
新しいガルバノスキャナーは、位置決め速度の向上だけでなく、剛性が高くなっている。さらにプラットフォームも、加工中の加減速による機械変形を抑制した新構造となっており、加工位置精度が従来比で約10%改善された。
加工ワーク寸法はML605GTW5が620×560mm、ML706GTW5が815×662mm。外形寸法はML605GTW5が幅4780×奥行き3370×高さ2270mm、ML706GTW5が幅5000×奥行き3420×高さ2270mm(外形寸法はシステム全体についてで、オプションなどによって異なる)。どちらも最大送り速度50m/min、発振器はCO2レーザー、出力360W、設定周波数10〜1万Hzとなっている。
近年、スマートフォンやタブレットPCといった電子機器がさらに小型・高機能化するのに伴い、それらのマザーボード基板や半導体パッケージ基板へ微細な穴をあけるレーザー加工の需要が拡大している。それとともに、加工時間の短縮や、より高い加工位置精度が求められており、同シリーズはそれらのニーズに応えるため開発された。
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