「既にそれ、十分にIoTですよ」、RRIが中堅中小製造業のIoT事例を募集:製造業IoT
経産省などが主導するロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は、課題となっている中堅中小製造業のIoT活用を振興するため、先進取り組み事例を募集する。中堅中小製造業の身の丈にあった事例を公開することで、現実的なIoT活用の普及を目指す。
経済産業省(経産省)などが主導するロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)の「IoTによる製造ビジネス変革」ワーキンググループ(WG)では2016年10月28日から、中堅中小製造業におけるIoT(モノのインターネット)の先進活用事例の募集を開始した。
ドイツのインダストリー4.0をはじめ、製造業のIoTを活用したビジネス革新の動きは大きく広がりを見せているが、その中で課題だと見られているのが、中堅中小製造業のIoT活用である。中堅中小製造業にとってIoT活用は、業務効率化が企業成長に大きく貢献する一方で、投資規模が限定されたり、人材を確保できなかったり、具体的にどう取り組めばよいのかが分からなかったりすることが障壁となり、なかなか踏み出せないことが多い。
RRIではこれらの障壁を打破するために、中堅中小企製造業のIoT活用を支援するアクショングループ(AG)を始動。中小企業が利用しやすいIoTツールの募集活動などを行い2016年10月4日に106件の選定を行うなど、さまざまな活動を推進している※)。
※)関連記事:第4次産業革命は中小企業が起こす、RRIのアクショングループが始動
中堅中小製造業向けIoT活用事例を募集
これらに加えて、新たに取り組むのがIoT活用事例の募集である。中堅中小製造業が「どうやってIoTに取り組んでいいのか分からない」とする中、身近な中堅中小製造業の身の丈に合った取り組みを紹介することで、中堅中小製造業でも取り組めるIoTの形を訴求し、IoT活用に乗り出せる土壌作りを進める方針である。
募集期間は2016年10月28日〜11月30日で、対象は「中堅中小製造業のIoTを活用した先進取り組み事例」としている。応募は自薦でも他薦でも可能だが、他薦の場合は紹介先の承諾が必要となる。応募方法は以下のWebサイトから応募フォーマットをダウンロードし、メール添付で応募する形となる。
募集例としては、身近な取り組みでは「材料や中間品、工具などの見える化」や「従来手作業で行っていた管理業務の合理化」「5S支援」などが挙げられる。一方で、先進的な取り組みの例としては「複数の工程間連携」や「営業や設計、購買、製造、検査などの連携」「工場間やサプライチェーン上の他企業との連携」などが挙げられている。
募集により集めた事例については、RRIのWebサイトでの「ユースケースオンラインマッピング」に掲載し、国内外への発信を行う他、経産省が発行を予定している「IoT活用事例集」(仮称)や、毎年発刊している「ものづくり白書」への掲載を行うという。
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