オムロンがなぜセンシングデータの流通市場構築に動くのか:製造業がサービス業となる日(2/2 ページ)
IoTによる製造業のビジネス革新の動きとして「サービス化」への関心が高まっている。その1つの基盤として、IoTによって得られたセンシングデータを流通させる「データマーケット」が注目されている。このデータ流通市場構築にオムロンが乗り出すことを表明。なぜ、オムロンはデータ取引市場に参入するのだろうか。
オムロンがデータ市場構築に動く理由
オムロンが「センシングデータ流通市場」の構築に取り組む理由には「Senseek(センシーク)」という技術の存在がある。センシークは、センシングデータの提供元と利用先双方の属性データをマッチングし、データフロー制御をすることで、センシングデータの安全な取引を可能とする技術である。同技術についてはオムロンが基本特許を取得している。
これにより、膨大なセンシングデータの中から利用ニーズと提供ニーズをマッチングすることができ、さらにマッチングしたセンシングデータの安全な取引を実現できる。宮田氏は「創業以来、『センシング&コントロール』に取り組んできたからこそ生まれた技術である」と述べている。
2016年10月10月4〜7日に千葉県の幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2016」では、この「センシングデータ流通市場」のデモも用意。実際にセンシングデータを検索し、マッチングする様子を示した。
オムロンではセンシークは基本的にはオープン化し、パートナーシップにより、現実的な市場の構築へと取り組みを進めていく方針だとしている。「既に大学や数社の企業から声が掛かっている」(オムロン)としており、研究会などを組織し実現に近づけていく。宮田氏は「センシークを核としデータ流通の新たな仕組みを構築していく。データ流通の仕組みができれば、センサーメーカーとしてセンシングの領域も拡大し、結果としてオムロンとしても成長できる」と述べている。
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