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IoT収益化の成否は「顧客に提供する価値」で決まる製造業IoT(2/2 ページ)

製造業にとってIoTを活用したサービスによる収益化はハードルが高い。IoT活用サービスの収益化に役立つソリューションを提供しているジェムアルトのライラ・アラドアラン氏に、国内外におけるIoT活用サービスの収益化事例を中心に話を聞いた。

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海外事例:電子道路標識のIoT活用はどのように収益化できたのか

MONOist 海外でのIoT活用サービスの収益化事例を教えてほしい。

アラドアラン氏 米国の電子道路標識メーカーの事例がある。電子道路標識というのは、道路インフラとして常に一定量の受注がある、順調で手堅いビジネスだ。しかし、この企業では5年前に、安定しているが成長しない事業と判断した。

 そこで、競合他社が持たないワイヤレス技術を入手し、電子道路標識と組み合わせることで有償化できるかを考えた。いろいろと試行錯誤した結果、電子道路標識のソフトウェアを地方自治体がリモート制御できるようにすることで価値が出た。これまでは電子道路標識の変更や管理のためにエンジニアを派遣しなければならなかったが、その必要がなくなった。このことを評価してもらい、有償での契約に結び付けた。

 ここで重要なのは、電子道路標識とワイヤレス技術を組み合わせたIoTによって、顧客である地方自治体に価値を提供したことだ。

 また、高価な医療機器を販売している医療機器メーカーの事例もある。顧客である病院の予算は限られており、高価な医療機器を新規に購入するとCAPEX(設備投資)になってしまう。数年で技術が廃れる可能性もあるので、新規購入は望んでいない。そこでリース販売のビジネスモデルを考案し、コネクティビティによるソフトウェアアップデートで常に最新機能を使えるようにした。使用状況を分析することによる予防保全も可能になっている。

 購入してもリースしてもハードウェアは同じだ。しかしリース契約であれば常に最新機能を利用できるとともに、CAPEXにならずOPEX(運用コスト)になることが評価されている。欧米では、ハードウェアの初期導入コストを払いたくないという要求が極めて強くなっている。求める価値は、そのハードウェアではなくソフトウェアによって実現される機能になりつつある。

MONOist 日本での採用事例はありますか。

アラドアラン氏 当社のソフトウェア収益化ソリューションのユーザーは100社以上ある。そのうち、IoT活用サービスの事例では、デジタルカメラのフィルタ機能の拡張や、プリンタにおける特別な紙への印刷に対応する機能の追加などに利用されている。

 IoTトレンドは今まだ始まったばかりで、今後もさまざまなIoTのユースケースに対応すべく力を入れていく。日本の製造業への提案も強化していきたい。

 新製品としては、組み込み機器レベルのIoTデバイスでもソフトウェア収益化ソリューションを利用できる「Sentinel Fit」を用意した。メモリ容量が少なくて済み、OS無しでも使えるので、IoTデバイスを通じて顧客に価値を提供をしたいと考える企業の一助になるだろう。

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