HPEのIoT戦略は「シフトレフト」、エッジにサーバ「Moonshot」の処理能力を導入:製造業IoT(2/2 ページ)
日本HPEがIoTへの取り組みについて説明。「モノ」に近い現場で、IoTデバイスからの情報の分析や最適化を行う「エッジコンピューティング」を重視した「シフトレフト」という考え方に基づき事業展開を進めて行く方針だ。
さまざまなパターンの導入事例を作って発信していく
HPEは、IoT向けのハードウェアだけを展開するのではなくソフトウェアも含めたトータルソリューションとして提案していく考えだ。その事業方針については、日本HPE 執行役員 プリセールス統括本部 統括本部長の香月千成子氏が説明した。
香月氏は、無線と有線、両方に対応するセキュアなネットワークとして「Aruba」を紹介。「モバイルファーストとして無線対応を優先してきたArubaだが、HPEへの統合後に有線対応も進めた。これはまさに、IoT対応のために1つになったといっても過言ではない」(香月氏)とした。
またIoT向けのアプリケーション開発プラットフォームであるHPE Universal IoT Platformは、通信事業者向けの巨大ネットワーク管理・運用ソリューションをベースに開発された。香月氏は「小さく始めることが多いIoTのアプリケーション開発は、各業種に特化しがちで、最終的に縦割りになって業種間でのデータ流通を妨げる可能性がある。当社のIoTプラットフォームは、業種ごとの最適化はテンプレート提供で対応しながら、水平型のデータ流通も可能になっている」と強調する。
日本HPEでは、これらのIoT関連ソリューションを展開する新組織として「HPE IoT推進室」を設置した。同室の活動を促進するのが、本社内に開設したHPE IoT コンピテンスセンターとなる。同センターでは全てのサーバ、ストレージ、ネットワーク機器を無償で利用できる。
大月氏は「具体的な事業目標は話せないが、IoTビジネスを早期に立ち上げたいと考えている。そのためには、さまざまなパターンの導入事例を作って発信していくことが重要になるだろう」と述べている。
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