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軽自動車と食い合う超小型EV、オーダーメードのデザインですみ分けを図れるかCEATEC 2016(2/2 ページ)

ホンダは、「CEATEC JAPAN 2016」において、鳩サブレーの豊島屋や、プロダクトデザインを手掛けるカブクと共同製作した超小型EV(電気自動車)「マイクロコミューター豊島屋モデル」を出展した。こうしたオーダーメードのデザインに対応することにより、超小型モビリティの市場拡大を図る。

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豊島屋モデルの公道走行はもう少し先?

 マイクロコミューター豊島屋モデルは、大人2人乗りのMC-βのベース車両とは異なり、後部座席を廃して荷室を設けた1人乗りだ。豊島屋では和菓子など食品を配送するため、気密性を確保できる独立した荷室とした。また、豊島屋の専用梱包箱のサイズに合わせて設計した。積み下ろしの利便性を考慮して、荷室の扉は上下2分割で開閉できるようにした。小さな配送物も運びやすくするため、仕切りの位置を自由に変更できる仕切り棚となっている。

豊島屋モデルベースのMC-β 豊島屋モデルは1人乗りで荷室を設けた(左)。ベースのMC-βには後部座席がある(右)(クリックして拡大)
運転席の様子食品を載せるため独立した荷室とした 運転席の様子(左)。食品を載せるため独立した荷室とした(右)(クリックして拡大)

 デザイン、設計、3Dプリントによる製造まで、カブクが一貫して担った。部品の製造は、保有する3Dプリンタの空き状況や、部品の形状と大きさに最適な機種に合わせて複数の3Dプリンタに振り分けた。これにより生産に要する時間を短縮している。

 豊島屋は神奈川県鎌倉市に本社を置く。同市は入り組んだ細い道が多く、観光都市として環境への配慮も求められるため、超小型EVでの配送に向くとしている。

 マイクロコミューター豊島屋モデルが実際の業務で使われるのは少し先になりそうだ。「車両ナンバーをどのように取得するか、調整中だ。国土交通省の超小型モビリティ制度で申請すると、自治体が決めた地域内でしか走行できないことになる。また、そもそも鎌倉市が超小型モビリティの制度を導入していないので、自治体との相談にもなるかもしれない。超小型モビリティではなく原付ミニカー(総排気量50cc以下または定格出力0.6kW以下の原動機を有する普通自動車)として申請することも検討している」(ホンダの説明員)。

自動車メーカーだけではできない、オーダーメードのクルマづくり

 ホンダの説明員は「3Dプリンタを使ったモノづくりの速さや、技術の進化には驚いた」と話す。「出力する材料のコストは課題だが、金型が不要だというメリットは大きいし、従来のクルマ作りよりもはるかに速い。3Dプリンタは5年前とは比較にならないくらい進化したと聞いている。その進化のおかげで、Variable Design Platformのコンセプトが実現した」(同社の説明員)。

 今後、豊島屋モデルのようなオーダーメードのMC-βの注文は、Webサイト上で受け付ける形を想定している。今回、カブクと連携したのと同様にさまざまな外部企業からの協力を得る前提だ。「ディーラーに出向くのではなく、Webサイト上で発注し、その注文内容を見たデザイナーやモノづくり企業が自由な発想でその注文を形にできると良い」(ホンダの説明員)。配送だけでなく、介護や観光、日常の移動手段などとして広く受注していきたいという。

 このようにオーダーメードに応えられる仕組みづくりが、超小型EVの普及に欠かせないという。「“こう使ってください”と自動車メーカーから提供するだけが全てではない。“こう使いたい”という声にも応えていく必要があるが、従来の大量生産のクルマづくりではカバーできない。だから軽自動車と超小型EVの差別化が図れず、超小型EVの市場がつくれなかった。豊島屋モデルのようなオープンイノベーションで、超小型EVの普及を後押ししていきたい」(ホンダの説明員)。

CEATEC JAPAN 2016(シーテック ジャパン 2016)

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