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いまさら聞けない IO-Link入門産業用ネットワーク技術解説(4/4 ページ)

インダストリー4.0などによりスマートファクトリーをはじめとする工場内IoTが注目を集める中、大きなカギを握る技術として注目度を高めてきているのが「IO-Link」です。製造現場のさらに末端情報を担うセンサーやアクチュエータからの情報取得を可能とするIO-Linkとは何かを、本稿では分かりやすく紹介します。

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IO-Linkの活用領域

 IO-Linkは、あらゆる業界で使用できます。上記のメリットなどを活用するため、国内でも普及が進みつつあります。例えば、次のような製品が既にIO-Linkに対応しています。

  • プロセスセンサー(圧力、流体、温度、レベル)
  • 位置や物体検知センサー(近接、静電容量、超音波、光電、色判別、シリンダ、光沢、蛍光検知、エリア、マーク位置)
  • モニタリングリレー(電圧、電流、力率、速度、温度)
  • RFIDシステム
  • デジタル/アナログIOのセンサーハブ
  • モータスターター(コンタクタ)
  • セレクタースイッチ(アクセスレベル設定スイッチ)
  • バルブターミナル
  • 伝送カプラー
  • 電空レギュレーター
  • スイッチボックス

 なお、PA(プロセスオートメーション)業界では、類似のデジタル通信としてHART技術が普及しています。HARTでは本質安全防爆に対応しているデバイスもリリースされていますが、IO-Linkには現時点でそのようなデバイスはありません。またケーブル長は最大20mのため、HART技術の完全なる置き換えは想定していません。

IO-Linkの今後の方向性

 IO-Link通信データには、周期通信を行うプロセスデータの他に、デバイスデータ、イベントデータがあります。通常、デバイスデータは、エンジニアリングツールを使ってIO-Linkマスター経由でアクセスします。ただし、シーメンスなど一部メーカーのPLCは、次のようなケースに備え、簡単にPLCプログラムからデバイスデータにアクセスできるよう、ファンクションブロック(FB)を取りそろえています。今後は、他メーカーからもこれらに対応するPLCが市場に投入されてくると想定されます。

 PLCとの連携で今後起こると考えられる点は以下の2点です。

  • 生産品目の変更などに迅速に対応するため、IO-Linkデバイスのパラメータ変更をPLCプログラムから行えるようにする
  • IO-Linkマスター交換後にエンジニアリングツールを使わずに迅速に再稼働できるようIO-Linkマスターが保持しているパラメータをPLCメモリにバックアップ、PLCメモリからリストアできるようにする

 また、IO-Linkは非常に早いペースで普及が進んでいますが、まだ誕生して間もない技術です。ユーザー要望などを反映したIO-Linkの新たな使い方がベンダーから提供されてくることも期待されます。普及と共に、IO-Link対応センサーやアクチュエータの価格も更に下がってくることも期待されます。

筆者プロフィル

粕谷忠広(かすや ただひろ)

シーメンス デジタルファクトリー事業本部 ファクトリーオートメーション部 プロダクトマネージメントグループ



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